近年、歯科医院という小さなコミュニティーで度々問題に上がるのが、医院内のミスコミュニケーションです。
今回は歯科医師にとって、どれほどコミュニケーション能力が重要なのか、また歯科医師が知っておくべき「パワハラになる行為」や「歯科衛生士・歯科助手が嫌がる行為」についてご紹介します。
目次
歯科医師はコミュニケーション能力が必要!
歯科医師に求められる能力として「新しい技術を吸収する能力」や「手先の器用さ」は、もちろん重要です。
しかし特に強調したいのが「コミュニケーション能力」です。
コミュニケーションは治療をスムーズに進めるにあたり、患者さんとの関係を構築する上でとても大切です。
また、うまく連携をとって治療するという意味で、スタッフ間の普段のコミュニケーションもとても重要になります。
事実、多くの患者さんから受ける歯科医院へ評価は、治療技術だけではなく患者さんへの対応の仕方やスタッフ間での連携の良さも考慮されます。
患者さんへの対応がいくら丁寧でも、スタッフ間の仲が悪ければ通いたくなくなってしまうものです。
必ずチェック!パワハラってどんなこと?
軽いコミュニケーションのすれ違いや性格の不器用さからくるコミュニケーションミスなら、どんな組織でも起こるものですが、「パワハラ問題」となると事が大きくなります。
近年、特に歯科医院内でのパワハラが問題化しています。
パワハラが裁判に発展した例も少なくはなく、上層部のコミュニケーション力あるいは、コミュニケーションの仕方そのものが課題となっています。
では、そもそもパワハラ(パワーハラスメント)とはいったいどういったものを指すのでしょうか。
職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいいます。(厚生労働省雇用環境・均等局のHPより引用)
この中で言う「職場での優位性」と「業務の適正な範囲」とは何を指すのでしょうか。
職場での優位性
パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。
「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。
業務の適正な範囲
業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントにはあたりません。
例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。
職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取り組みを行い適正な指導をサポートするものでなければなりません。
ですが、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的に嫌がる行為をすれば、すぐにパワハラ判定されかねません。
また、院長や組織を束ねる立場であれば、組織の中にいるスタッフ間でもパワハラがないか、ガバナンスを効かせておくことが重要です。
こんなことありませんか?医院内でのパワハラ事例
ここからは、歯科医院という場所で実際に起こりうるパワハラの具体例を見ていきます。
パワハラの発生には様々な場面が想定できますので、どういった事例がパワハラとされるのか見ていきましょう。
業務と関係のない仕事をさせる
歯科医院で働くスタッフは、治療行為以外にも受付や、事務作業、庶務作業など、スタッフで分担して様々な仕事をこなします。
あくまでそれは診療所での勤務の中で行っていくもので、「業務の適正な範囲」です。
それが大前提にもあるにもかかわらず
- 院長の生活に必要な物を買いに行かされられる
- 業務前にペットの世話をさせられる
- サービス接待をさせられる
など、実際の職務とは無関係の仕事を強制させることは、「業務の適正な範囲」とは言えませんので、スタッフが嫌がっている時点でパワハラにあたる可能性が高いのです。
ひどい暴言を吐く
診療中、忙しいと、ついつい口が悪くなってしまう方もいるかもしれませんが、それが毎日続き、さりげなく退職を迫るなどという行為はパワハラに該当する恐れがあります。
「ほんと仕事が雑、この仕事向いてないよ」
「今日も懲りずに仕事来たね」
「お前が職場にいるせいで仕事が増える」
などと行き過ぎた暴言は相手の心を傷つけます。
同じことを言うにしても伝え方に注意しなければ立派なパワハラに該当する恐れがあります。
明らかに理不尽な指導
指示通り仕事をしたはずなのに「やり方が間違っている」と怒鳴られる、少しミスをしただけで「おおざっぱで、ぐうたらだな」とけなされる、作業内容を質問すると、「言わなくても考えを読み取る努力をしろ」と理不尽な説教されるなど明らかに理不尽な指導はパワハラに該当する可能性があります。
また、程度によっては、パワハラとなるだけでなく、言われたスタッフが精神を病んでしまうこともあります。
患者さんへの態度とスタッフへの態度がまるで違う
パワハラを起こしている歯科医師によっては、患者さんには優しい顔をして、特定のスタッフに対しては執拗に怒鳴る、わざと足を踏む、蹴るなどの暴力をふるう場合もあるようです。
それらの行為は、パワハラに該当するだけでなく、患者さんの目に留まって、患者さんが転院するきっかけにもなりかねません。
必要以上にプライベートのことを聞かれる
休みの日は何をしているのか、彼氏・彼女はいないのか、化粧が濃いのではないかなど、仕事と全く関係ないことを必要以上に聞かれるのも嫌がられ、場合によってはセクハラにも該当する恐れがあるものもあります。
歯科医院という狭い世界とはいえ、礼儀を忘れないようにしたいものですね。
まとめ
パワハラと一言で言ってもかなり対象の幅が広いものでしたが、重要なキーワードは「相手が嫌だと思うかどか」です。
また、行為によってはセクハラと隣接するものもあるので注意しましょう。