働きたいと思える歯科医院を見つけたら、その先に待ち受けるのは面接です。
面接は何度やっても緊張してしまうものですが、少しでも多く、自分の良さや志望度合いの高さを面接官に上手にアピールしたいものです。
そこで、今回は面接に臨むにあたっての心構えや、よく聞かれる質問と回答例についてまとめたのでご紹介します。
面接官は歯科医師の何をチェックしている?
面接官は、応募者に対して、何を見ているのでしょうか?
まず面接官が見極めたいことは、以下のことが挙げられます。
面接官が見極めたいこと
「高い技術力があるか」
「丁寧に仕事を行えるか」
「協調性があり周囲と円滑にコミュニケーションをとれるか」
また、新しい技術が日に日に増える歯科医院という業界で、自主的に更なるスキルアップを図ろうとする心構えがあるかどうか、も見られているので注意しましょう。
真摯で誠実な受け答えを意識して、面接官の話をよく聞いて質問と答えが、うまくかみ合うようになるべくリラックスして臨みましょう。
面接でよく聞かれる14の質問
続いて面接にて実際によく聞かれる質問をまとめてみました。代表的なものを14個ピックアップしたので、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
1.当医院に応募した理由は何ですか?
志望動機に関わる質問で、間違いなく聞かれる質問ですよね。
当たり障りのない聞こえのいい言葉ばかり並べていては、面接官に見抜かれてしまいます。
自分の経験や考えに基づいた、オリジナルな言葉で入社意欲をしっかりと伝えましょう。
事前に歯科医院情報を入手し、研究しておくとライバルに対して差別化を図ることもできおすすめです。
ポイント
回答例
歯は人が健康を維持する上で欠かせない大切な部位だと思います。
現代は長寿社会となり、益々歯の健康が大切になりました。
私は人が生活をする上で一番不都合を感じやすい歯の専門医として、一人でも多くの患者さんの機能を回復し、心から喜ばれるような歯科医師になりたいと強く思っています。
その上で、御院の患者さんそれぞれの症状に対して細かくフォーカスした丁寧な治療方針には強い感銘を受けており、ぜひ、諸先生の指導を仰ぎ、勉強を重ねていきたいと思っております。
2.この仕事を選んだのはなぜですか?
まだキャリアが浅く、未経験の応募者の方に対して投げかけられることが多い質問です。
面接官はこの質問から「長期間勤務して欲しいので、興味本位での応募でないか見極めたい」「仕事内容の理解に誤りがないか確認したい」という狙いがあるようです。
歯科医師という仕事に対する理解度を上手に面接官に示すためには、その仕事に対する気持ちを述べるだけでなく、自分が持っている経験・技術・知識が実際に働き始めてからの業務とどう関わってくるのか説明するようにしましょう。
また、行動意欲を表すためには、自主的に始めている勉強などを具体的に言えると好印象です。
合否が左右される大事な質問なので、しっかりと自分で回答を準備し練習しておきましょう。
ポイント
歯科医師という仕事への理解と、行動意欲の強さをしっかりとアピールしましょう。
回答例
「小さい頃、私は歯並びが悪くて人前で口を開くことに強い抵抗がありましたが、歯科矯正をして歯並びが良くなっただけで自分に自信が付いたという原体験があります。
次は自分自身が同じように、周囲で困っている人を笑顔にできる歯科医師になりたいと強く思うようになり今に至ります。」
3.自己PRをお願いします
面接官が知りたいのは「応募者の熱意」や「スキルや能力が活かせるか」ということです。
応募条件にただ合致しており、働きたい意欲を伝えるだけでは回答としては不十分です。
与えられる時間や場のムードに応じて、短く端的に1分ぐらいで話せるバージョンと、3分ほどでじっくり話せるバージョンのものなどを用意しておくと本番で焦らずに済みます。
ポイント
具体的に自分にはどんな強みがあるのか、根拠としてはどんなエピソードがあるのか、それがどのように仕事に活かせるのかといったことを話しましょう。
回答例
「私は真面目で最後まで諦めない人間です。
学生時代は当時誰もやりたがらず困難とされていた研究テーマに自ら率先して手を挙げ、取り組みました。
研究室の人間関係も出来上がっておらず、最初は何をするにも苦労しましたが、相談にのるのが好きな自分の性格も幸いし、気づけば頼もしい仲間たちに変わっていました。
研究も昼夜問わずな日々も続きましたが、レポートも完成させ学会にて最優秀賞を受賞しました。御院のおいても私の強みを生かして患者さんの歯の健康に貢献していけると確信しております。」
4.なぜ退職(転職)を決めましたか?
この質問は仮に採用したとしたら勤続してもらえるかが主な狙いです。
同時に、仕事への取り組む姿勢についてや応募者が新しい職場に何を期待しているのかを探り、マッチング度合いも見極めようとしています。
ただこの質問では何を述べるか注意が必要です。
経営方針、人間関係でのトラブル、上司への批判といった事柄に触れるのは減点される恐れがあり危険です。
また、待遇面の不満をいうのも印象が良くないので控えましょう。
ポイント
志望動機につながる前向きな理由と、前の職場では実現できなかった仕事上の目標を理由として述べましょう。
回答例
「前職では多くの患者さんを担当させていただき、私自身を大変大きく成長させていただけたと、感謝しております。
しかし、さらなる技術を身につけ、より多くの患者さんの需要に応えようと考えた際に、前職ではその時間や機会にあまり恵まれませんでした。それが退職を決めた大きな理由です。」
5.以前の仕事内容について教えてください
職務経歴書を詳細に書いていても、よく聞かれる質問の一つです。
面接官の質問の狙いは、実際に前の職場で関わっていた仕事内容から、応募者の実カ・新しい仕事に対する適性などを調べるためです。
関連して職場の組織構成やチーム内での自分の位置づけ、具体的な仕事の進め方などを聞かれることもあるので準備しておきましょう。
ポイント
入職を希望する新しい環境で役立つ技術や仕事への適性を、「どこで」「どのように」「どの程度」身に付いているのかをしっかりと伝えましょう。
回答例
「自費を中心に治療を行っていました。受け持った患者数は1日に10~15人程になります。また、矯正専門医より矯正治療についても率先して学んでいました。」
6.あなたの長所と短所は何ですか?
人物重視の歯科医院でよく聞かれる質問です。業務への適性、職場の人間関係の適性にも通じる性格を問うのがこの質問の狙いです。
ここで注意したいのは、応募者の回答と実際に面接官が受ける印象にギャップが生じてしまうと、どうしても信頼感に欠ける結果になってしまうことです。ですので、事前に自己分析はしっかりと行っておきましょう。
ポイント
短所を伝えたあとは、原因と改善するために努力していることを伝えましょう。
回答例
「長所は人見知りなく、誰とでも気さくに話せるところになります。
短所は念には念を入れる性格のため、大きな失敗はないですが、慎重になりすぎてしまう面があります。
そのため、しっかりと考えた上で迅速な行動をとれるように努めています。」
7.当医院のことでご存知のことはありますか?
この質問の意図は、面接官が応募者に対して実際の仕事の説明を行う際に、何から話せばよいか知るためや医院への理解度を探るために聞かれることが多いです。
率直に、「求人の広告を見た程度です」と答えてしまうと入職意欲を疑われてしまいます。
ポイント
医院のHPの治療方針や経営理念をチェックし、情報をしっかりと収集している実績を伝えましょう。
回答例
「患者担当制を取り入れていらっしゃり、患者さん一人ひとりにしっかりと時間を確保している治療スタイルに大変惹かれました。」
8.あなたが当医院に貢献できることはなんですか?
この質問は、あなたの貢献意欲・医院の問題点の理解度を聞いています。
スラスラと積極的な意見が言えた方が、主体性のある人物にみられるので、面接では有利になります。
「特にありません。」といった回答はご法度です。意欲を疑われてしまうかもしれません。
対策としては、事前にインターネット、キャリアコンサルタントの情報を収集に加えて、自分の強みの整理をしておくと回答が容易ですよ。
ポイント
貢献できる内容をただ答えるだけでなく、貢献できる理由として、自分の長所や過去の経験を語りましょう。
回答例
「前職ではどんな時も患者さん寄り添う治療を心がけてきました。
結果、今では〇〇先生じゃないと安心できないとよく言っていただきます。
御院は今、人手不足で困っていると伺っております。
一刻も早く治療を受けようと待ってくださっている患者さんの力になりたいと考えており、どの方にも丁寧な対応をしていきたいです。」
9.前職給与額(希望給与額)はどのくらいですか?
「前職給与額」に対する質問は、給与設定の一つの材料になり、給与ダウンに対する打診や、応募者の実カレベルの目安としても用いられます。
嘘をつくと、後でトラブルになることもあるのでやめましょう。
ポイント
前職給与額を正直に答え、希望給与額は、応募先の求人案内の金額範囲内で答えましょう。
回答例
「前職では、年収〇〇万円でした。前職を下回らない程度を希望します。」
10.残業がありますが平気ですか?
この質問ですが、残業が実際に少ない歯科医院でも聞かれることがあります。
つまり回答から、勤務に対する姿勢・柔軟度をチェックしている可能性があると言えます。
ポイント
回答としては、まず前向きに「できます」とあまり間を置かずに答えるといいでしょう。その方が好印象を相手に与えられます。
回答例
「はい。全く問題なく対応可能です。」
11.他にも歯科医院を受けていますか?
他の選考を受けていても無理に隠す必要はありません。
ただし、他の選考を受けていることを伝えた上で、更に一言アピールを付け加えることが大切です。
この質問で面接官が知りたいのはあなたの入職意欲になります。
改めて魅力的な点を示すなどして、自分の志望動機や入職意欲を積極的にアピールしましょう。
ポイント
「御院に是非とも採用されたい」という熱い気持ちを伝えるひと言を添えましょう。
回答例
「正直に申し上げますと、他の歯科医院の選考も受けております。ただ本日の選考にて御院への志望度合いが改めて一番高いことを実感しております。」
12.仮に採用されたらいつから出社可能ですか?
応募者がまだ在職中なのであれば、間違いなく出てくる質問です。
欠員補充を目的としている中途採用の場合ですと、採用後はなるべく早期での出社を希望する歯科医院が多いかと思います。
ただ、基本的に在職中であることを告げたのであれば、ある程度の猶予は与えられると思って構いません。
通常の猶予期間ですと、2週間から1ヵ月程度となります。
ポイント
ここで面接官が知りたいことは、どの程度待てばいいのか、実際に待つ価値はあるのか、という2点になります。正直に出社可能な日付を答えましょう。
回答例
「退職した翌週の月曜日より出社可能です。」
13.趣味はなんですか?
人柄を知るために、直接仕事とは関係のない質問がくることもあります。
仕事とは関係ないとはいえ、何も答えられないとコミュニケーション力のない人と見られてしまうかもしれません。
なるべく、興味を持ってもらえるように、特に夢中になっていることを熱く話してみましょう。一緒に働きたい人と思ってもらえるきっかけになるかもしれません。
回答例
「趣味は音楽鑑賞と映画鑑賞になります。特に音楽は大好きで、毎年野外で開催される大規模なフェスティバルに出かけたりもします。」
14.最後に何か質問などはありますか?
ひと通りの質疑応答が終わり、必ずといっていいほど聞かれる質問になります。
最後が好印象で終われるかどうかで、結果が変わってきます。最後までチャンスは活かしましょう。
ポイント
見学中に気になったことや具体的な診療内容について、改めて自分の入職希望をアピールしましょう。
回答例
「自費診療の割合が○%とお伺いしましたが、どのような治療が多いのでしょうか?」
「本日はお忙しい中、私のために貴重な時間を割いていただき、ありがとうございました。
本日の面接にて改めて御院の素晴らしさを実感いたしました。御院にて一緒に働ける日を夢見ております。」
まとめ
今回は面接にてよく質問される項目についてご紹介しました。
面接も事前の準備が最も大切になります。何度も繰り返し練習した人と、ぶっつけ本番の人では当然ですが成果にも大きな差が出ます。
また、歯科医師は患者さんのことや周りのことなど、些細なことに気がつくことが出来る能力が求められます。
面接時の回答内容だけでなく、立ち振る舞いにも注意しましょう。
表情があまり豊かでなかったり、姿勢が悪かったり、無愛想な態度だったり、印象に悪影響が出て来てしまいます。
面接時には出来るだけ笑顔を心がけるようにし、はきはきと明るい雰囲気や態度で臨みましょう。