歯科衛生士は歯科医師の代わりに患者さんとコミュニケーションをとったり、メンテナンスを担当したり、受付や電話対応をしたり、と歯科医院の顔・窓口にもなる立場です。
そのため、歯科衛生士にとって、言葉遣い等の接遇マナーはとても大切。
ここでは、どんな時に、誰相手に、どういう言葉遣いをすればいいのか見ていきます。
正しい敬語の使い方
歯科医院で働いている場合に、敬語を使う相手には患者さん、業者さん、院長や一緒に働くスタッフの3種類の相手がいると思います。
しかし、どの場面でも全員に同じように敬語を使えばいいわけではありません。
これはOK?NG?
患者さん:院長先生はいらっしゃいますか?
スタッフ:院長先生は今いらっしゃいません。
このように患者さんとの会話の中で、院長先生にも敬語を使うと、おかしいですよね。
「院長はいらっしゃいません」と言ってしまうと、敬意をあらわしている相手は院長になり、患者さんを立てる会話になっていないことになります。
敬語は、場面によって一番立てたい人に使いましょう。
一番敬意をあらわす相手は患者さん。
患者さん以外の人に、同時に敬語を使わない!
シーン別・間違いやすい言葉遣い
間違いやすい言葉遣い、敬語を場面別でご紹介します。
× | 〇 |
わかりました。/了解です。 | かしこまりました。 |
わかりません。 | わかりかねます。 |
ごめんなさい。/すみません。 | 申し訳ございません。 |
〇〇円からお預かりします。 | 〇〇円、お預かり致します。 |
× | 〇 |
はい、〇〇医院です。 | はい、〇〇医院でございます。 |
〇〇様ですね? | 〇〇様でいらっしゃいますね? |
どちら様ですか? | どちら様でいらっしゃいますか? |
ちょっと待ってください。 | 少々お待ちください。 |
〇〇先生は今日休みです。 | 〇〇(先生)は本日お休みをいただいております。 |
敬語の仕組みを知っておきましょう。
敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分けられます。
「尊敬語」のつもりで「丁寧語」を使っていたり、「尊敬語」と「謙譲語」を使う相手を間違えるとおかしな言葉遣いになるから注意が必要です。
尊敬語・謙譲語・丁寧語とは
尊敬語、謙譲語、丁寧語のどの敬語を使うかは
- 誰に敬意をあらわしているか
- 誰のことについて話しているのか
によってかわります。
例えば、患者さんと歯科助手のあなたの関係は下の図のようになります。
丁寧語は立場関係なく、丁寧に表現したもので、尊敬語・謙譲語によって相手に敬意を表現します。
丁寧語 | 尊敬語 | 謙譲語 | |
意味 | 相手や第三者に対して、丁寧に表現する言葉遣い | 相手や第三者に対して、敬意をあらわす言葉遣い | 敬意をあらわすために、自分自身や行為をへりくだって表現する言葉遣い |
相手によって言葉がどう変わるのか、誰に向けて使うのかの意味を理解しましょう!
原型 | 丁寧語 | 尊敬語 | 謙譲語 |
する | します | される/なさる | いたします |
いる | います | いらっしゃる | おる |
ある | ございます | おありになる | ー |
見る | 見ます | ご覧になる | 拝見する |
言う | 言います | おっしゃる | 申し上げる |
思う | 思います | お思いになる | 存じます |
くれる | くれます | くださる | ー |
行く | 行きます | 行かれる | 伺う |
来る | 来ます | いらっしゃる | 参る |
尊敬語は、患者さんや院長先生・先輩のことを立てる言葉になります。
謙譲語は自分がへりくだることで、相手を立てる言葉になります。
【例文】仕事中の敬語を使った会話
では、実際によくある会話を見ていきましょう!
受付で患者さんの対応をするとき
そちらの椅子におかけになってお待ちください。
ポイント
「拝見させていただく」という言葉遣いも聞いたことがあると思いますが、実は「拝見する」+「いただく」と二重の敬語になっているので間違いになります。
正しくは「拝見します」です。
椅子にかける(座る)のは、患者さんの動作なので尊敬語の「おかけになる(お座りになる)」を使います。
院長や先輩との仕事中の会話で
□□の場所をご存知ですか?
ポイント
「了解」や「了承」という言葉は同僚や目下の人に使う言葉とも言われているので気を付けましょう。
「了解しました」は丁寧語にしただけなので、尊敬語にはなっていません。
業者さんからの電話に出る場合
お忙しいところ申しございません。
院長先生はいらっしゃいますか?
差し支えなければ、ご用件をお伺いしてもよろしいですか?
ポイント
歯科医院側も、業者さんに対して尊敬語を使います。
この時、立てる相手は業者さんになるので、院長には尊敬語を使いません。
この時、院長のことは「院長は」や「院長の〇〇は」と呼びます。
「院長の〇〇さん」のような敬称はつけないようにしましょう。
まとめ
- 敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つにわけられる
- 「敬意を表す相手」が誰なのかに注意!
- 一見敬語のように聞こえても、二重敬語など、失礼な場合もある!
正しい敬語を話すことは大切ですが、それを気にしすぎて暗くならないように気をつけましょうね。
特に新卒の学生の方は、面接や働き始めてからの言葉遣いが不安がある方もいるのではないでしょうか?
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