歯科医師のみならず、仕事を辞める場合はきちんと順を追って退職手続きを進めていかなければなりません。
退職意向の報告
退職届の提出
業務やカルテの引き継ぎ
など、少し考えてみただけでも意外にやることが多いですよね。
今回はそんな退職手続きに必要なステップや意識しておきたいポイントについてお伝えしていきます。
また、気になる退職後の金銭的なケアの有無についてもご説明します。
目次
歯科医師が退職するまでの基本的な流れ
いざ退職をしようと考えても、翌日からすぐに退職できるわけではありませんよね。
引き継ぎ業務などを行う必要があります。
スマートに円満退職し、後腐れのない方法で次の環境へ移りましょう。
ここからは退職の基本的なステップをご紹介します。
①自分の退職意思を確認する
どんな職場でも、働いていて辛いときは必ずあるものです。
一時的な気の迷いで、突発的に辞めるという決断を下すのは危険です。
まずは客観的に自分の状況を理解し、その上で本当に辞めるべきかの判断を下しましょう。
辞めたい気持ちが先行して、自己中心的になっていると他人から見た視点を忘れがちです。
次の環境でも同じ繰り返しにならないためにも、誰もが納得できるような理由で退職しましょう。
②退職の相談をする
次に「いつ」「誰」に退職の意思表示をすればよいかというポイントです。
退職意思を伝える時期は、基本的に勤務先の歯科医院が規定する期間を守ったほうがトラブルにならずに済むでしょう。
歯科医院によって「退職する〇日以上前に届け出ること」と、決まっていますが、60日以上前だったり180日以上前だったりと様々です。
本当に退職するなら、歯科医院側も採用を考えなければいけないので、相談するなら早めに相談しておいて間違いはありません。
また、医院の繁忙期は避けて辞めるようにしましょう。
予約がいっぱいに埋まっているのに急に辞めてしてしまうと、歯科医院に迷惑をかけることになります。
また、分院長を務めている方の場合は、後継の方を自分で見つけないといけない場合もあります。
この点も、早めに退職の相談をしていれば、納得してもらいやすいですね。
退職意思を伝えるのは、まずはじめに院長に伝えるようにしましょう。
できれば新たな門出を応援してもらえるようにしたいものですよね。
そのためにも、退職意思はできる限り詳しく伝えること。
また、職場の不満などはなるべく口にせず、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
同僚より先に院長に伝えるのは、同僚に先に伝えたことが院長の耳に届いてしまうことがあるからです。
これは不信感を与え、退職の交渉に悪影響を及ぼすこともあります。
ちなみに、「少し間を置いて考えて直して欲しい」と言われた場合は、次に相談する日程を事前に決めておきましょう。
辞めるタイミングが曖昧になり、退職がスムーズにできなくなる恐れがあるからです。
雇用期間が決まっている場合
「〇月〇日まで」のように雇用期間が決まっている、有期雇用の場合は、基本的には雇用期間が満了するまで退職できないので気を付けましょう。
その場合も、トラブルにならないために、
雇用期間の延長がないかの確認をしておく
雇用期間を延長するつもりがないことを先に伝えておく
など、気をつけておきましょう。
③退職届を提出する
退職したいという自分の思いを院長が受け入れれば、退職日を決定して退職届を提出します。
退職日は、引き継ぎに必要な期間に残っている有給休暇を加えたくらいの日程を選びます。
このとき、残りの有給休暇を貰う権利はありますが、医院との関係が良好でないと交渉しづらいこともあるでしょう。
退職届の書き方
履歴書もそうですが、歯科医院では手書きの方が好まれるようです。
白い便箋に、黒のボールペンで縦書きで記入します。
こすると消えるボールペンは、日付などが消えてしまいトラブルになることもあるので避けましょう。
①私事…私事ですが、という意味です。私儀とも書きます。
②一身上の都合により…自己都合退職の場合、書面には「一身上の都合により」と書きます。退職理由は別途、院長に口頭で伝えましょう。
③自分の名前は、宛名より下に書きます。
④宛名は最高責任者なので、理事長の場合は理事長宛にします。自分の名前より上にくるように書きます。
※もめた場合に「退職届を受け取っていない」と言われないように、コピーをとり、「いつ・誰に渡したか」を残しておくようにしましょう。
④引き継ぎを行う
退職日が決まれば、引き継ぎのスケジュールを立てます。
自分が退職する日の3日前(有給休暇がある場合は、有給休暇に入る前)くらいには全てが引き継げるような日程でスケジュールを組みましょう。
引き継ぎは口頭だけでなく、自分の担当していた患者さんの注意点など、分かりやすく文書にまとめておくと、後任の歯科医師の方や同僚の方も戸惑うことが少なくなります。
さらに、頻繁に顔を合わせる患者さんにも必ず挨拶しておきましょう。後任の先生の紹介も忘れずにしておきます。
また、自分だけが愛用していた歯科器具についても引き継ぎを行うことをおすすめします。
同僚や歯科衛生士は使わないけれど、自分だけはよく使っていた歯科器具があるかもしれません。
その器具の使い方や、メンテナンス方法を引き継がずにそのまま放置してしまうと、捨てて良いものなのか分からず、現場は困ってしまうからです。
⑤有給休暇を消化する
有給休暇が残っている場合、有給消化で束の間の休息をとるのもいいでしょう。
ただし、退職後の新たな生活に備えて、ゆっくりと羽根を伸ばすだけでなく、引き継ぎに漏れがないかなど、改めて円満な退職のために気になる項目を確認しておくと良いでしょう。
また休んでいる最中は、周りの職場の方への感謝の気持ちを忘れないように過ごすようにしましょう。
⑥退職日を迎える
いよいよ退職日(有給を消化する場合は最終出勤日)を迎える事となります。
最後の出勤日はきちんと挨拶をして回りましょう。
今まで記載してきたようなプロセスを丁寧にこなしてきた方であれば、寂しくも気持ちの良い日を迎えられているのではないでしょうか。
送別会を開いてもらったり手紙や花をもらい、惜しまれつつ退職を迎えられると理想的ですよね。
そうなるように今一度、丁寧な計画を練りましょう。
退職金はもらえる?退職後のサポートはあるの?
退職後に決まった転職先がない場合のサポートとして失業給付があります。
仕事を辞めても雇用保険に入っていれば、一定期間は仕事がなくても失業給付を受けられます。
一般的な歯科医院では雇用保険に加入しているはずなので、こちらはもらえると考えて良いでしょう。
しかし、退職後すぐに給付を受けられるわけではないので、失業給付を受けたい場合はいつから給付されるのかを確認しておきましょう。
一方で退職金は、歯科医院側から絶対に支払わなければいけないという義務は法律上ありません。
まずは最初の契約の時点で退職金がもらえるかどうかきちんとチェックしておくとよいでしょう。
「退職金の支払いは勤続年数〇年以上」と規定がある場合も多いので注意しましょう。
歯科医院の退職金に相場というものはなく、院長の気持ちや職場に貢献できていたのかなどでもらえる額が決まる場合もあります。
とりわけ小規模な歯科医院だと退職金が出ないところが多いので、転職先を探す場合などには気を付けて求人情報を見ておくといいでしょう。
まとめ
今回は歯科医師がスムーズで円満に退職する具体的な方法についてご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
仕事を辞めることは、人生でも大きなターニングポイントです。
退職をする際には本当に辞めて良いのか?
もう少し同僚とのコミュニケーションを増やし人間関係を築くことができたら退職せずに済むのではないか?
など、一時の感情に任せず、慎重に考えて行動に移しましょう。
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(監修: 永島社労士事務所 永島篤史先生)