歯科衛生士インタビュー

小児歯科で働く歯科衛生士の役割とは

投稿日:2018年6月29日 更新日:

小児歯科で働く歯科衛生士インタビュー

杉山さん
歯科衛生士6年目/出身校 中央歯科衛生士調理製菓専門学校
オススメの歯ブラシ DENT EX kodomo


地元、静岡県の歯周病に力を入れている一般歯科で3年間学び、その後、小児歯科を専門的に行う東京の白金こどものはいしゃさんに勤務。7月で2年になる。


一般歯科で3年間働いていた杉山さんは、初めの頃、お子さんの対応に苦戦されたそうです。色々な葛藤を経て、明るく前向きに働く杉山さんにお話をお伺いしてきました。

またお子さんや保護者の方の対応の仕方についてもお伺いしているので、小児歯科で働こうと考えている歯科衛生士さんやお子さんや保護者の方の対応で悩まれている歯科衛生士さんはぜひ参考にしてみてください。

小児歯科と一般歯科で働いて感じた違い

ー 杉山さんは新卒の時に、一般歯科に入職されていますが、学生のとき、どのようなことを考えて歯科医院選びをされていたのか教えてください

元々は保育士になりたかったんですけど、ピアノができなかったので、歯科衛生士として小児歯科で働くことを希望していたんです。

でも、歯科衛生士学校の先生に就職の相談をしたら、「最初から専門性を極めるより総合的に学んでから、専門性の高い歯科医院で勤めたほうがキャリア形成のためにいい」とアドバイスをもらったんです。

歯科衛生士として知識や技術を高めたい気持ちもあったので、総合的に学ぶことができて、最新の治療を取り入れていたり、学ぶことに熱心な歯科医院で働くことにしました。

ー その3年後、一通りの業務を学ばれてから、上京して小児歯科で働こうと思われたんですね?

昔から小児歯科で働きたいという気持ちもありましたし、前職の歯科医院はビジネスマンや主婦、ご年配の方が患者さんとして多かったのですが、「悪くなる前に口腔内のケアしておけばよかった」という声をとてもよく聞いていました。

私も昔は、虫歯によくなっていたんですけど、当時は「虫歯ができても直せばいいや」と思っていたんですよね。
でも、その頃に戻れるなら、丁寧に歯磨きをして、食生活も変えたい、と今でも思うんです。

同じ思いをする人を減らすためにも、『虫歯になる前に予防することがどれだけ大事か』を子供のときから伝えていくことが大事だと思い、小児歯科や予防歯科に興味を持ちました。

ー 一般歯科で働いていた時と比べて、小児歯科ではどんな違いがありましたか?

前職の一般歯科と比べると、内装もかわいい見た目ですし、院内で響く“音”もぜんぜん違います。

前職は流れるように静かに治療をしていましたが、現職は、音楽もディズニーですし、個室ではないので患者さんとお話をしている声がよく聞こえます。

また、お子さんの成長をみることができるのも大きな違いですね。

医院の入り口にも怖くて入ってこれなかった子が、少しずつ治療を受けられるようになって、今では、楽しそうに通院している。
口腔内がよくなったことだけでなく、メンタルの部分を含めて色々な成長をみることができるのは、小児歯科ならではの特徴じゃないかなと思います。

特にここの医院は、担当制ではないので、「〇〇ちゃんすごい成長したね」とスタッフ皆で話したり、家族のように、お子さんの成長を共有しています。

ー 小児歯科での歯科衛生士の役割を教えてください

診療に関しては、Dr.がスムーズに治療をできるようにすることはもちろんですが、先程、お話をしたように、歯科医院に入ってくることが難しい患者さんも多いので、私達が『歯医者さんは怖くない、歯医者さんに行くのが楽しみ』と思ってもらえる環境をつくることですね。

私たちが環境づくりをしていくことで、患者さんの『歯科医院は怖いところ』という意識から『楽しいところ』と意識が変わることで、継続して通ってもらうことができる。

結果的に虫歯になるリスクを減らすことができるので、患者さんにとって長い目でみて通ってよかったと思ってもらえますし、患者さんが定期的に通っていただくことで、歯科医院にも貢献できると考えています。

ー大人と子供の対応の違いで大変だなと思ったことはどんなことですか?

今までは、相手が大人だったので、相手の方もこちらに合わせてくれていたのですが、子供は良くも悪くも素直なので(笑)。
治療をしたくないときや機嫌が良くないときの対応で苦戦したことがありましたね。

あと、その子に対してのベストをいかに見極めるか、が難しかったです。

例えば、私達にとっては、治療が終わるのがベストですけど、その子にとっては今日バキュームが1秒できることがベストかもしれない。そこで治療を終えることで次はスムーズに治療ができることがあるんですよね。

大人の治療をしていたときは、計画通りに治療を進めることや処置を施すこと、口腔内が改善することなど、何かしらの結果を出して、治療を終わらせることがゴールだと思っていたので、ここの医院で働いて、この子にとってどこまでやるのが今回の治療でのベストなのか、そのためにはどういう声がけの仕方があるのか、など色々考えることが多かったです。

ー どのようにして乗り越えましたか?

Dr.やスタッフの真似をしました。

Dr.や先輩がどんな時に、どのようなことを話しているのか、みてちょっと真似してみて、少しずつ自分のものにしていく。

とりあえず考えたことを実際にやってみて、どれが効果的だったのか、答えを自分の中で探していくようにしています。

お子さんと保護者の方と深く関わることができるのが小児歯科の魅力

ー 小児歯科の魅力はどんなところですか?

もちろん、お子さんの成長をみられることが一番嬉しいです。

他にも、最近私が対応した患者さんで、初診のアポイントをいれてくれたのはママさんだったんですが、当日、熱のため来院できずに、代わりにパパさんと1歳のお子さんが来院されたんです。

パパさんは初め、「育児に関してノータッチなので何もわかりません、すいません」とお話されていました。

ここの医院は、初診の時に、歯ブラシのやり方をお伝えするんですけど、「何もわかりません」とおっしゃっていたので、時間をかけてお子さんの歯ブラシの仕方をお伝えしたんです。

2回目の来院では、お子さんとママさんがいらっしゃったので、今までほとんど、パパさんはお子さんの歯磨きをしなかったのに、「歯医者で教わったから」とやってくれるようになったと話してくださいました。

また、「積極的に育児に参加してくれるようになった」とママさんから感謝のお言葉をいただけたんです。

もちろんそれが小児歯科だけではないと思いますがパパさんやママさんのモチベーションのお手伝いもできたのかなって、思うと凄く嬉しかったですね。

お子さんにも、保護者の方にも深い関わりができるのが、小児歯科の良さかなと思っています。

ー 具体的にはどのようなことをされたんですか?

できるだけ情報をお伝えして、歯を磨かないといけないという意識やモチベーションを上げていくためのお話をしました。
その後は、歯磨きの仕方を模型上でみせて、お子さんにも、実際にやってみせました。

赤ちゃんって歯磨きをしようとすると動くし、パパさんもどう接していいか、わからなかったみたいでした。
実際にやっているのをみてもらうことで、歯ブラシのやり方がわかれば、安心して自分でもできると思うんです。

ー お子さんとの関わり方で大切にしていること/保護者の方との関わり方で大切にしていることはどんなことですか?

お子さんに対しても、保護者の方に対しても、大前提として意識していることは「その人が自分の家族だったらどうするか」を意識しています。

治療ひとつにしても、選択肢を広く提供して、最適なものを患者さんに選択してもらいたい。
そのためには、こちら側の知識やスキルを磨くことも大切ですし。

選択肢を広く提供できる状況にしたうえで、「この人が自分の家族だったら」と考えると、その人にとってどういう治療が良いのか、自然と浮かんでくるんですよね。

それをお伝えして、あとはご自身で選んでいただくことを、お子さんに対しても、保護者の方にも、常々意識しています。

ー 保護者の方への説明や対応に悩まれる歯科衛生士さんもいるのですが、どのような対応をしていますか?

保護者の方もさまざまなタイプの方がいらっしゃるので、どのような伝え方をすれば、わかりやすいか、常々考えながら、対応しています。

例えば、論理的な方には、結論と根拠になる事実を先に伝えたり、心配症な方には、質問を多く投げかけるようにするなど、相手のテンションや性格などに合わせるようにしています。

ー とても熱心に勉強されていらっしゃると見受けられますが、何がモチベーションになっていますか?


私は仕事ができるタイプではないので、同じ失敗をしたこともありますし、人よりも何倍もやらないとできないと自分自身でわかっているんです。

でも、そこで自分が学ぶことをやめてしまったら、患者さんにも、一緒に働いているスタッフにも迷惑をかけるし、自分のためにもならないですよね。

周りのスタッフは気がきく人が多くて、私の知らないところでフォローしてくれていることがたくさんあります。
なので、常にモチベーション高く成長できる環境もありますし、自分もそういう人でありたいと思っています。

あと、歯科衛生士歴が6年あるので、キャリア年数と経験と技術が比例していないのが私自身、嫌なんですよね。

歯科は医療行為なので、自分が患者さんの立場だったら、相手ができないって嫌じゃないですか。

こちらも常に勉強していく姿勢じゃないといけないですし、もちろんお給与をいただいているので、医院にも貢献していきたいと思うことがモチベーションになっています。

好きになることで仕事は楽しくなる

ー 仕事を楽しくする秘訣を教えてください

仕事を好きになること。
私は、歯科衛生士の仕事が好きなんですよね。

お口の中だけじゃなくて、人と話して、生活の中まで深く関わっていけるやりがいのある仕事じゃないですか。
仕事が好きだから、落ち込むことがあっても切り替えていける。

でも、好きになるまで、なかなか難しいし、怒られたりすると、落ち込むときもありますよね。

なので、バキュームが上手くできたなど、毎日、少しでも自分の中で上手くできたことに目を向けるように意識する習慣をつけると良いと思います。

そうすれば、自信がついて、仕事が楽しくなるし、好きにつながるんじゃないかなと思います。

ー 先生やスタッフと関わることで大切にしている事はありますか?

ここの医院で働いてみて、気づいたことなんですけど、ちょっとしたことでも、Dr.やスタッフから「ありがとう」と言われることがとても多いんです。

私は、今まで感謝していても言葉にしないことが多かったんですよね。

だけど、それを言葉にして伝えることで、言われた方も嬉しいし、言う方も嬉しい、嫌な気持ちにならない言葉だと思うので、ここで働いてから、意識して言葉にするようにしています。

あとは私自身、「ごめんね」を先に言うことが多かったのですが、「ごめんね」って言葉は「ありがとう」に置き換えられることが多いなと感じて、今まで「ごめんね」と伝えていたところを「ありがとう」に置き換えて話すようにしています。

そうするとお互い表情が柔らかくなったり、距離が近くなるのを感じますね。

ー 白金こどものはいしゃさんの魅力はどんなところですか?

患者さんに楽しく歯医者に通ってもらうためにも、働いている私達が仕事を楽しくやろうというのは共通認識で思っていることです。

新人のとき、うまくいかずに悩んでいたら、先輩から「杉山さんにも楽しく働いてほしいと思ってるんだよ」と声をかけていただきました。

院長も「みんなに幸せになってほしい」とよく言ってくださっていて、院長に「話をきいてください」と伝えると、忙しいのにお時間をつくっていただいて、話を聞いてくださるんです。そういうところも働きやすさの一つだと感じています。

診療に関しては、専門性が高いため、集中できること。一緒に働くスタッフの目標や目指す方向が同じなので、一致団結して、仕事ができるのも魅力だと思います。

⇒白金こどものはいしゃさん院長インタビュー「気持ちが楽になる子供との関わり方

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取材・文/シカカラ編集部 八木橋


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