みなみ歯科・矯正歯科
院長 南 伸也 (みなみ しんや) 先生
東京都大田区蒲田にみなみ歯科・矯正歯科を開院。
きれいな医院に明るいスタッフの挨拶が飛び交う。「患者さんに寄りそった治療」で定評がある。
「歯科医師が歯科衛生士に求めること」「新卒歯科衛生士が1年目に心がけてほしいこと」を中心にお話を伺っています。
歯科衛生士に求めること・1年目にすべきこと
ー 歯科衛生士に求めることを教えてください
色んなタイプの人がいるので、一概には言えないですが、1つだけ明確なことがあります。
それは「人の話を聴ける人」です。
医療現場は、患者さんの要求をしっかりと聴きださないと、自分たちが思う正しい治療の押し付けになってしまう。
例えば、「歯科治療としては、治療してから歯ブラシ指導までがすべて必要なので、絶対にやってください」というような押し付けはいけないと考えています。
来院した患者さんが、何を求めていて、その人にとって何が必要なのか考えて、それに沿った治療を提供してあげることが大事だと考えています。
そのために、患者さんの話がしっかり聴ける人が大事だと思います。
さらに、「質問されたことに明確に答えられる人」だと、なお良いですね。
昔は、「穏やかで愛想がいい人」がいいなと思ったこともありますが、自分が愛想のいいほうではないので、そこまでは求めていないです(笑)
ここがテーマパークだったら、僕の接客のやりかただと物足りないかもしれないですが。
歯科は医療ですし、不安や恐怖心をもって来院される患者さんに対して、しっかり話を聴くことが、何よりも大切だと考えています。
ー 新卒1年目の歯科衛生士が、心がけたほうがよいことを教えてください
診療中に手があいているときは、休憩するのではなく、先生や先輩がやっていることを見学してほしいな、と思います。
今までの私の経験上、人がやっていることを見学すると、治療の流れやポイントなどを客観的に見ることができて成長が早くなることが多いですね。
ただ見学するだけではなく、メモをとったり、角度を変えてのぞきこんでみたりして、そこで何か感じとってほしいし、ひとつでも多く学んでほしいと思います。
「見学していいの?」と不安に思う人もいるのかもしれませんが、自分の成長のためになると思うことは、自分で考えて、「見学してもいいですか?」と一言かけて行動するといいと思います。
必ず見学しなければいけない、というわけではないですが、人はスキルアップしたことを嬉しく感じると思いますし、仕事を楽しくするためにも必要な一歩だと考えています。
ー 新卒1年目に望むことはなんでしょうか?
『とにかく患者さんに顔を覚えられようとする』ことですかね。
勤務医時代、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手・受付と、色々な人をみてきたのですが、活躍している人は、患者さんに顔をよく覚えられて、声をかけられたりして、信頼されていました。
信頼されているから、患者さんもリラックスしながら治療を受けてくれますし、こちらも治療がしやすいです。
治療がしやすいから技術も向上して、技術が向上するから、信頼してくれる患者さんも増える。そういう良い循環が生まれます。
経験をすると分かると思いますが、信頼してくれない人を診療するのは大変だし、難しいです。
いきなり「信頼される」までいかなくても、まず信頼されるための一歩として、患者さんに顔を覚えてもらうように、声をかけたりする努力はしてほしいかなと思います。
新卒1年目の行動でよかったこと
ー 唐金さんの行動でよかったこと、成長につながっていることを教えてください
どの人もメモをとっていると思いますが、唐金さんの場合は「自分でわかりやすいように、家に帰ってから、さらにまとめている」ことがよいと思いました。
メモをとっても、見直していない人もいると思いますし。
仕事がなかなか上達しない人のメモは、必要なときに書いてあるところがすぐに探せなかったりするんですよね。
新人のときは、頭の中もまとまっていないことが多いから、せめてメモだけでもまとまっていると、段違いに覚えが早いと思います。
あとは唐金さんの場合、性格的なところでたぶん負けず嫌いなんだろうなと思います。
他の人ができていて、自分ができていないところがあると嫌がるので、自分で練習して成長していくそういうところがいいなと思います。
さっきの話と通じるところで、必要だなと思うところは、見学したり、メモをとっていたりします。
そういうところを見ると、がんばっているなと思います。
唐金さんに期待していることは、患者さんに顔を覚えてもらうことですかね。
技術スキルの成長が早いので、患者さんとコミュニケーションもさらにできるようになると良い人材になると考えています。
先生がスタッフに対して心がけていること
ー スタッフ教育で心がけていることを教えてください。
「注意するときは感情的にならないこと」これが一番です。
自分が勤務医のときに、よく怒る院長がいました。
心の中では「そんな風にいわなくてもいいのに」と思っていました(笑)
ああいうとき、怒るほうは「何で怒られているか、察しろよ」という感じで怒ると思うんです。
でも、怒られる方は、どこを直したらいいのか、がちゃんと分かっていないケースが多いんじゃないでしょうか。
しっかり伝えてあげないと改善は難しい。
なので感情的にならず、どこがいけなかったのか、どうしたらいいのか伝えてあげることが大切だと思っています。
他にも、勤務医時代に感じたことなんですが、オーナーや上の立場の人から言われることって、パッと聞くと、
『その人(上の人)にとってプラスなこと』だったりするんです。
売上を上げたり、オーナーにとって心地良いことをさせようとしているんだ、と思われるからスタッフが反発するんだと思います。
僕が重視しているのは、売上をあげて「僕」が喜ぶようにすることではなく、『顧客(患者さん)に喜ばれること』。
医療であるからには、患者さんに喜ばれて、そこから報酬をもらうという普通な姿にしたいと考えています。
ー 南先生にとってスタッフはどのような存在ですか?
難しいですが、「お互い成人した後の家族」みたいな印象ですね。
お互い1人の大人なので、必要以上にべたべたしたりはしないものの、親としては子供の幸せを陰ながら願う、みたいな(笑)
スタッフもそう思っているとはわかりませんが
関わった以上は幸せになってほしいですし、歯科医療の現場で幸せになろうとすると、やっぱり成長が大事だと思っています。
そのため、スタッフが何かに悩んでいて相談されたときには、一緒に考えて、自分でやってみて良かったことなどを、伝えるようにしています。
ー スタッフに対して、認めているところや評価しているところを意識的に伝えるようにしていますか?
単純に、頑張っているなと思うことは伝えるようにしていますが、それだけと言えばそれだけです。
思っていることは、言わないと伝わらないからですかね(笑)
改善した方がいいと思ったことも、良かったことも、両方を伝えるようにはしています。
ー 見学・面接時にみているところはありますか?
一番最初は、清潔感のある人かどうか。
これは、患者さんが不快な思いをしないためです。
見学時は、積極性。
見学時には、時間があれば、スタッフと一緒に見学してもらうようにしています。
そのときに、スタッフに対して見学者が質問をしているかどうかなどをみています。これはどこの歯科医院でも同じなんじゃないでしょうか。
面接の時は、 あらかじめ準備していた答え以外にも話すことができる人かどうか。
たとえば、志望動機などで、準備してきたことをそのまま話すだけの人は、深堀りをして質問をしたときに、質問の答えになっていないことが多いです。
そこで、聴く力や、質問に対して答えることができる人か、をみています。
ー 入職後、ここに気をつけてほしいと思うことはありますか?
これは、新卒に対しても経験がある人にも言えることですが、
「自分はできる」と慢心しないでほしいと考えています。
自分ができると思うと、「口腔内の汚れているものをきれいにして帰すだけ」という流れ作業になってしまい、
ともすると、患者さんを物のようにあつかってしまうことすらあります。
慢心してしまうと学ぶこともなくなってきます。
歯科衛生士になって2~3年経つと、患者さんからみたら、スケーリング技術の違いは、そう変わらないケースが多いですからね。
そうなると、どこで違いを見られるかというと、対応の心地よさだったり、聴く力だったりします。
自分の技術レベルが高いと思いこんでしまうと、患者さんの気持ちよりも自分がしたい治療を押しつけてしまったりする。
物を作る仕事なら技術だけ高くてもいいのかもしれませんが、医療は人が関わる仕事なので、
患者さんは技術だけでなく、自分のことを考えてくれる心地のよい人を選ぶと思う。
対応が心地よい「だけ」の人も困ります(笑)
でも、技術スキルは向上することができるんですよね。
ただ、技術スキルが高い人は、慢心して謙虚さを忘れてしまうから、自分はできると思ってしまって、他のところが実はできない、ちゃんと直そう、と思わなくなるケースが多いなと感じます。
「謙虚で、慢心せず、学びつづける人」がどこにいっても重宝される人材だと思います。
ー 人間性や患者さんが思う心地よい対応はどのようにして、学ぶようにしていますか?
自分が患者さん側を体験することと、客観的に見ることが大切だと考えているので、
スタッフ全員でたまにロープレをおこなうようにしています。
編集注) ロープレ: ロールプレイングの略で、患者さん役を演じて治療・対応を受けてみて、それの良し悪しを体験すること
そこで「相手がどう思うか」「どのようなコミュニケーションの取り方がいいのか」「治療説明がわかりやすいか」など、意見を出し合う。
他の人がやっているのをみて「この人のここはいいな!真似しよう」と発見があったり、フィードバックをもらって、自分が思っていることと、みんなが思っていることが違うということがわかったりします。
みなみ歯科・矯正歯科とはこんなところ
ー みなみ歯科・矯正歯科はどのようなところですか?
自分が目指している歯科医院は、何かにおいて特別、一番になろうとしているわけではなく、不快な要素がない歯科医院です。
患者さんに対しても、働くスタッフに対しても。
そのため、口うるさく言わないとか、自分もスタッフも清潔感をもつとか、不快だと思う要素を一つ一つ、つぶしています。
どんな切り口でも、 普通って結構難しいじゃないですか。
「院長うざい」とかじゃなくて、どんな院長なのと聞かれたら、「普通」、みたいに言われたいです(笑)
患者さんに対しても、普通に通っていたら10年経っていたとか、そういうのを目指しています。
何か飛び出るものがあるから、そこと比較してダメなところが生まれると思いますし、良いものは普遍的だと考えています。
特に男性の勤務歯科医師には、
スタッフに対して、偉そうにしないこと、敬語をつかうこと、感謝の気持ちを伝えるようにしてほしい、と伝えています。
(女性の歯科医師は、スタッフに対して高圧的な方が当院に勤務したことは、幸いながらありません。)
その点では、女性は働きやすいかもしれませんね
取材・文/シカカラ編集部 八木橋
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