歯科医院からもらうお給料は、銀行振込と手渡し、どちらが多いのでしょうか?
結論から言ってしまうと、圧倒的に「銀行振込」が多いです。
むしろ、「今時、手渡し...?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、歯科医院に限らず、個人事業主だったり小規模事業者の場合は、給料を手渡ししているところは意外とまだたくさんあるんですよ。
お給料を手渡ししている歯科医院はどのくらいあるの?
具体的な統計があるわけではないですが、ごくわずかに存在します。
シカカラDH求人で、過去に歯科衛生士を紹介した歯科医院でも、10~20軒程度、お給料を手渡しする歯科医院がありました。
また、シカカラDH求人を運営している株式会社グローマスに勤めている歯科衛生士(2人)も、直近の勤務先の歯科医院が、お給料手渡しだったようです。(神奈川県と埼玉県の歯科医院でした)
ただ、現在は圧倒的に銀行振込の歯科医院が多いと考えていいと思います。
お給料は手渡しでもいいの?
こちらも結論から言うと、手渡しでOKです。というよりも、法律的には、銀行振込が「例外扱い」なのです。
法律上では以下のように定められています。
労働基準法 第24条1項
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。 ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合、又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い (中略) ことができる |
原則的には、通貨(紙幣やコイン)で、直接、支払わなくてはいけないので「手渡し」です。
文中の「『ただし』以降」は、厚生労働省令で定める方法で、「確実な支払い方法なら、通貨以外でもいいよ」と言っています。これが「銀行振込」です。
(銀行振込以外でも満たす場合がありますが、ほとんどは銀行振込と考えてOKです)
現代では、銀行振込は、便利で安全なので、ほとんどの歯科医院や歯科衛生士ともに、「例外」の銀行振込を選択している、という状況です。
銀行振込のメリット
歯科衛生士側
- 大金を持ち歩く必要がないので安全・安心
- 管理しやすい
- 普段から銀行を頻繁に利用している人は、現金でもらってからわざわざ預けに行く必要がない
歯科医院側
- 大金の盗難などのリスクがない
- 1人1人にぴったり支払うために、両替などをしなくてよいので、給料支払い業務が楽
手渡しのメリット
歯科衛生士側
- どのみち振り込まれてもおろす人は、わざわざ銀行に行っておろす必要がない
- その場ですぐ使える (それが良いか悪いかは人次第ですが…)
- 院長から、特定の銀行で口座を作ってくれ、と言われない(めんどくさくない)
- (人によりますが) へそくりなどを作りやすい…
歯科医院側
- 現金を渡すので、恩を感じてもらいやすい
- 給料支払いの業務が、給料日当日の閉院時間ギリギリまでできる
- 振込手数料がかからない
などが挙げられます。
(デメリットはその逆です)
銀行振込は、歯科医院側も歯科衛生士側にも言えることですが、
- いろいろ便利
- 盗難や紛失のリスクがない
ということが一番大きい理由になっていると考えられます。
手渡しだと、税金や社会保険料などをごまかせる?
残念ながら、無理です。
手渡しだろうと、銀行振込だろうと、歯科医院側には、「どの歯科衛生士に、どの名目で、いつ、いくら払ったか」はしっかり記録が残っています。
他の収入と合わせて確定申告する場合などに、もらった金額を少なく申告して税金を減らそうとするのは、もちろん違法ですし、調べられたらすぐにばれるものなので、絶対にやめましょう。
なお、ごくごくまれですが「歯科医院側が記録に残さずに、現金で給料を払ってくれる」というケースもあることはあります。
これは例えば、
- 税金や社会保険料の関係で、扶養範囲内で働いている歯科衛生士がいる
- 歯科医院の状況が変わり、もっと多く働いてくれないと困る、ということになった
- 扶養範囲を超えると、税金や社会保険料が増え、結果として手取りが減ってしまうので、歯科衛生士は嫌がる
- 院長「じゃぁ、扶養範囲を超える分は現金で払って、給与記録は扶養範囲内の金額しか残さないからどう?」
- 歯科衛生士「OK」
というケースなどがあります。
(この場合、歯科医院から歯科衛生士への「給料」という記録が残せないので、扶養範囲を超えた分は、院長のポケットマネーから出すことがほとんどだと思われます)
一見、院長が歯科衛生士に配慮しているように見えますが、これは明らかに違法行為ですし、露見したときに、歯科医院も歯科衛生士も両方罰せられますので、やめましょう。
まとめ
- お給料が手渡しの歯科医院もある
- 手渡しでも銀行振り込みでも支払われる金額に変わりはない
- お給料の金額をごまかすのは違法!