こんな方におすすめ
- 社会保険完備ってどういうものか知りたい方
- 社会保険完備の求人で探すべきか知りたい方
歯科衛生士学校にある求人票や、インターネットの歯科衛生士求人サイトを見ると、「社会保険完備」と書かれている歯科衛生士求人を見かけます。
ご両親や学校の先生からは、「社会保険完備の歯科医院に就職しなさい」と言われている方も多いと思います。
でもなんで『社会保険完備』がよいのか理解していますか?
「親や先生にそういわれるから」
「なんとなくそのほうがよさそうだから」
というぼんやりとした理由で決めると後悔するかもしれません。
今回は『社会保険完備』ってどういうことか解説していきます。
社会保険完備ということについてしっかり把握して、自分に合った求人を探してみましょう。
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社会保険完備ってどういうこと?
「社会保険完備」を略して「社保完備」ということもあります。
雇用関連の社会保険は、「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の4つを指すことがほとんどです。
- 労災保険
- 雇用保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
※40歳を超えると、健康保険に加えて介護保険への加入も義務付けられ、5つになります。
社会保険完備かどうかに関わらず、『労災保険』『雇用保険』は入っていることがほとんどですが、求人を見ると、たまに何も書いていない歯科衛生士求人もあります。
歯科業界で社会保険完備と言われる歯科医院は、
- 労災保険、雇用保険、歯科医師国保、厚生年金 に加入
- 労災保険、雇用保険、健康保険(協会けんぽ など)、厚生年金 に加入
のどちらか、ということになります。
※なお、非常勤(パート)の歯科衛生士の場合、雇用保険と厚生年金は「歯科医院は加入しているが、本人(歯科衛生士)は加入できない」ということがありえます。
ざっくり言うと雇用保険はその歯科医院で週20時間以上働く人だけが対象で、厚生年金は週30時間以上働く人だけが対象となります。
社会保険完備の場合
社会保険完備の場合、年金は『厚生年金』に入ります。
健康保険については、歯科衛生士として勤めている歯科医院の状況によって、大きく2通りあります。
- 歯科医師国保に入る
- 健康保険(「協会けんぽ」など)に入る
歯科医師国保と協会けんぽを比べた場合、常勤の歯科衛生士だと、普通は歯科医師国保の方が月に払う金額は安いです。
健康保険(協会けんぽ など)は、月に払う金額は高い代わりに各種の保障が充実している、という感じです。
社会保険完備じゃない場合
労災保険と雇用保険は入りますが、「健康保険と年金は自分で入ってね」というパターンです。
歯科医院によっては、
- 年金は自分で国民年金に入る
- 健康保険は、歯科医師国保に入れてもらう
というパターンも割と多いです。
年金が、厚生年金ではなく国民年金の場合は「社会保険完備」とは言いません。
社会保険完備の方が歯科衛生士にとってはおすすめなの?
社会保険完備かそうでないか、どちらがおすすめかは『人それぞれ』です。
「国民年金」「国民健康保険」「歯科医師国保」は、毎月支払わなくてはいけない保険料が、厚生年金や健康保険などよりも普通は安いです。
なので、社会保険完備じゃない歯科医院の方が、毎月自分に入る手取り額は多くなります。
その代わり、社会保険完備の厚生年金、健康保険は、将来もらえるお金が多かったり、産前産後14週間の給与保証があったり、病気やケガで一時的に働けなくなった場合にもらえるお金(傷病手当金: しょうびょうてあてきん)があったり多かったりします。
つまり、『保障が手厚い』ということになります。
「将来や、いざというときのお金は自分で貯める」
「とにかく目先でもらえるお金を多くしたい」
という歯科衛生士は社会保険完備じゃない歯科医院を選んだほうがよいかもしれません。
「今もらえるお金が少なくなっても、将来やいざというときに備えておきたい」
と考える歯科衛生士は、社会保険完備の歯科医院を選んだほうがよいでしょう。
なお、健康保険については、国民健康保険、歯科医師国保、健康保険(協会けんぽなど)のどれに入っても、保険証はちゃんともらえますし、通常3割負担で医療が受けられます。
※ただし、歯科医師国保に入っている場合、自分が勤める歯科医院では保険証は使えません。
社会保険完備の歯科衛生士求人はどれくらいある?
歯科衛生士求人の中に、社会保険完備の求人はどのくらいあるのでしょうか?
シカカラDH求人の調査によると、歯科衛生士求人の中で「厚生年金に加入している」と書いてある歯科医院は全体の72.4%ありました。(半年以内の加入予定 も含みます)
最近は、厚生年金に加入する歯科医院が増えてきている印象がありますので、社会保険完備の歯科医院を探すのはそこまで難しくないかもしれません。
また、日本歯科衛生士会が平成27年に行ったアンケート調査によると、歯科衛生士会に所属している歯科衛生士の中では、常勤の54.5%、非常勤の31.7%が厚生年金に加入していると回答しています。
歯科医院が厚生年金に加入している場合、常勤歯科衛生士は加入対象になります。
なので、歯科衛生士求人での厚生年金加入割合(72.4%)と、実際のアンケート調査(54.5%)には18%程度の違いがあります。
これは、
- 求人を出す歯科医院は「新たに歯科衛生士が欲しい」医院なので、魅力に思ってもらうために加入している
- 求人情報には厚生年金に加入している、と書いてあるが、実際は入っていない
などの原因が考えられます。
もしどうしても社会保険完備、厚生年金への加入を求めるのであれば、シカカラDH求人にご相談ください。
より詳しく社会保険を知りたい方は
雇用保険、労災保険、歯科医師国保、健康保険、年金
などの社会保険について、別のコラムでより詳しく解説しています。
支払うお金(保険料)、将来やいざというときにもらえるお金に関わってくることなので、興味がある方はぜひご一読ください!
(監修: 永島社労士事務所 永島篤史先生)