医院から給与明細をもらったときに「○○手当」というものがいくつかあるかと思います。
そもそも手当ってなんなのか? 歯科におけるよくある手当はどんなものがあるのか? いくらくらいなのか?
を見ていきましょう。
そもそも歯科衛生士がもらえる手当(てあて)とは?
お給料の構成のコラムでも見てきましたが、1ヶ月にもらえるお給料の総支給額(月給)は、
- 基本給
- 手当
の合計になります。
なので、手当とは「お給料において、基本給以外でもらえる各種項目」のことを指します。
残業代や通勤交通費も、基本給以外にもらえる項目なので、手当にあたります。
残業代は「時間外手当」「超過勤務手当」「残業手当」などの呼び方がありますが、全て同じです。
通勤交通費は「通勤手当」などと呼ばれることが多いようです。
みんな手当ってもらっているの?
平成27年3月に日本歯科衛生士会が発表した、「歯科衛生士の勤務実態 報告書」によると、常勤で勤めている歯科衛生士の95%以上が、なんらかの手当をもらっていると回答しています。
同じ調査によると、常勤歯科衛生士では、「通勤手当」「時間外手当」は大部分の歯科衛生士がもらっています。
そのあとに、資格手当、皆勤手当、住宅手当、役付手当、その他 と続いていました。
歯科衛生士がもらえる主な手当一覧
手当は歯科医院ごとにいろいろな種類があります。
先ほどの日本歯科衛生士会の調査でもでてきましたが、歯科衛生士の場合は、
- 歯科衛生士手当 (資格手当、職務手当、という名前の場合も)
- 皆勤手当
- 精勤手当
- 住宅手当、家賃手当
- 残業代 (時間外手当、超過勤務手当、残業手当、という名前の場合も)
- みなし残業代 (みなし残業手当、固定残業手当、という名前の場合も)
- 通勤手当
- 役付手当 (チーフ手当、など)
などが主な手当として支給されているようです。
歯科衛生士手当
この手当は、かなりの数の歯科医院で使われています。
歯科衛生士手当を用いている歯科医院に、歯科衛生士として入った場合は、必ずつきます。
なぜ歯科衛生士手当があるかというと、
- 無資格者(歯科助手、受付など)と給与に差をつけたい
- 基本給は無資格者と同じにして、勤続年数やスキルに応じて変えたい
という理由があると考えられます。
【例】新卒歯科衛生士の初任給が24万円、新卒歯科助手の初任給が20万円の場合
- 歯科衛生士: 基本給18万円、歯科衛生士手当4万円、その他の手当2万円
- 歯科助手: 基本給18万円、その他の手当2万円
のようにして、給料の総額に差をつけるのです。
皆勤手当(かいきんてあて)
皆勤手当は「月に一度も休まず出勤するともらえる」という手当です。
だいたい1~2万円くらいです。
有給休暇を使って休んだ日については、事前に院長と相談して休む日を決めていた場合は皆勤とみなす場合が多いですが、歯科医院によります。
歯科医院によっては、「無断欠勤でない場合は、皆勤手当はなくさないであげる」という医院もあります。
また、 遅刻を何回もしていると皆勤手当てから数千円マイナスするという医院もあります。
精勤手当(せいきんてあて)
精勤手当は、仕事をがんばってくれた人に出す、という意味の手当です。
がんばっている、がんばっていない、というのは主観でしかないので、「がんばってなかったから今月は精勤手当は払いません」ということは、ほとんどないようです。
精勤手当も、だいたい1~2万円くらいです。
住宅手当、家賃手当
住宅手当、家賃手当は、その名の通り、家賃の一部または全額を、歯科医院が負担してくれる手当です。
特に、通勤が難しいエリアにある歯科医院などで、引っ越してきてくれる方が望ましい場合は、住宅手当をつけているところが多いです。
※住宅手当は、「通勤が徒歩のスタッフにだけ支給する」としている歯科医院もあります。(通勤の交通費がかからない分、手当として払っている、という感じになります)
残業代
残業代は、所定労働時間(1日8時間)を超えた場合、その時間に支払われるものです。
お給料を時給に換算した金額の1.25倍が「残業時の時給」になります。
その残業時の時給に、所定労働時間を超えた時間数をかけて、月の残業代を計算します。
※なお、残業時の時給を計算するおおもとの「お給料」は、基本給ではありません。
住宅手当と通勤手当(通勤交通費)以外の、各種手当を含めた額になるのでご注意くださいね。
みなし残業代
1か月で、あらかじめ一定の残業時間が見込まれる場合、その残業代を先に支払ってしまう、ということが認められています。
求人広告などで、「給与:24万円 (みなし残業代20時間分4万円を含む)」みたいに書いてあることもあります。
これは「月に20時間分の残業代として、4万円を必ず支払うよ」という意味です。
この場合、月に20時間までは、残業しても別で残業代がもらえるわけではありません。
ただ、月の残業時間が20時間より少なくても、20時間分の4万円は必ずもらえます。
もちろん、20時間を超えて残業した場合は、超えた分については残業代が別途支払われます。
通勤手当
通勤手当は、通勤にかかる交通費です。
歯科医院によって、全額支給だったり、月の上限額を定めていたりとまちまちです。
上限額を定めているところだと、月2〜5万円くらいが普通です。
常勤歯科衛生士で、電車やバス通勤の場合は、6か月定期を買ってください、という歯科医院が多いです。
この場合、6か月に1回、「通勤手当の支給月」というものがあり、その月に6か月分の定期代がまとめて支払われます。
車やバイク通勤の場合は「1kmあたりのガソリン代としていくら」と決めている医院が多いようです。
(毎回ガソリンスタンドのレシートを取っておくのも大変ですし、通勤以外に使われても分からないですし)
自宅から歯科医院までの距離は、最近はGoogle Mapなどで経路検索をして、最短距離を測る歯科医院も増えています。
非常勤、パート歯科衛生士の場合は、定期を買うわけにはいかないので、往復電車賃×出勤日数で計算して、毎月支払われるケースが多いようです。
項目も、通勤手当となることもありますし、経費精算、のような、手当とつかない項目名の場合もあります。
たまに、給与明細に「非課税通勤手当」のように、非課税、と書かれているケースもあります。
通勤手当は、1か月に10万円までは、もらっても税金(所得税など)がかかりません。
なので「非課税」と書かれているだけですね。
特に気にしなくても大丈夫です。
逆に言うと、1か月10万円以上の通勤交通費(新幹線通勤など)は、超えたぶんに税金がかかります。歯科衛生士の場合はあまりないケースですね。
通勤手当に税金はかかりませんが、社会保険(厚生年金や健康保険)、労働保険(雇用保険や労災保険)の保険料を計算する際は、給料とみなされるため通勤手当を含んだ額で計算されます。
そのため、常勤歯科衛生士のケースですと、6か月に一度の定期代支給月は、雇用保険料がちょっと高くなります。
厚生年金や健康保険は、1年で平均されますので、その月だけ高いなどということはありません。
役付手当(やくつきてあて)
役付手当は、「役職が付いている歯科衛生士に払う手当」という意味です。
チーフ歯科衛生士などになり、他のスタッフをまとめる立場になると、役割が増えて仕事が大変になります。
「チーフだから、スタッフミーティングを率先してまとめて」なども言われるようになるかもしれません。
そこで、「チーフ」や「リーダー」などの役職に対して、その職務の重さから、手当を支払うケースがあります。
これが役付手当です。
役付手当、と書くと、いまいち分かりにくいので、歯科医院によっては「チーフ手当」や「役職手当」などという場合もあります。
ちょっとレアな手当
他には、あまり出している歯科医院は多くないですが、
- 運転手当 … 訪問歯科診療のときに、運転をする場合につく
- 保険手当 … 社保に加入しておらず、国民年金や国民健康保険、歯科医師国保が歯科衛生士負担の歯科医院で、その一部または全額を医院が肩代わりする場合につく
- 調整手当、その他手当 … 歯科衛生士が転職してきたときに、前の医院の給料がとても高い場合、医院の給料ルールとはかなり外れるときがあります。そのときの差額を埋める場合につく
などの手当がつく歯科医院もあります。
さいごに
手当の決ま方など、歯科衛生士のお給料の内容については歯科医院によりさまざまです。
決まりがないので、同じ月給24万円でも「基本給20万円+歯科衛生士手当4万円」と「基本給22万円+歯科衛生士手当2万円」では違いますよね。
月々の月給だけではなく、ボーナスの金額などにも関わることになってきます。
歯科衛生士のボーナスはいくら?何を基準に決めている?>
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