歯科衛生士さんの働き方の一つに、扶養範囲内パートという働き方があります。
あなたは、扶養範囲内(ふようはんいない)という言葉を聞いたことありますか?
社会保険料や所得税などの税金も関わってくるので、扶養を受けながら働くために仕組みを理解しておきましょう。
ここでは、扶養範囲内、扶養控除といった「扶養」について解説していきます。
注) 歯科衛生士はそのほとんどが女性ですので、配偶者=夫(男性)、歯科衛生士=妻(女性)という前提でご説明していきます。
扶養範囲内って?
扶養範囲内で働くために気をつけないといけないことがあります。
気にせずに働いてしまうと、扶養範囲から外れてしまうので気をつけましょう。
扶養する=誰かの生活の面倒を見ること
扶養される=誰かに生活の面倒を見てもらうこと
という意味になります。
家族の中で、自分以外の人がお金を稼いで、そのお金で養われている人のことを、扶養家族と言います。
主な扶養家族の例
- 働いていない子ども (産まれてから仕事し始めるまでの子ども)
- 主婦、主夫や、稼ぎが少ない妻、夫
- 働いていない親、兄弟姉妹
女性の社会進出や社会復帰がしやすくなってきており、夫婦共働きの世帯も増えています。
しかし、日本ではまだまだ、「男性が仕事をして稼ぎ、女性が家事・育児をする」というパターンが多いようです。
稼ぐ人 … 夫
扶養家族 … 妻、子ども
というパターンです。
扶養範囲内で働くと、税金や社会保険料をおさえられる?
扶養範囲内、という言葉に、法律上の定義はありません。
一般的に言われているのは、
『法律で定められている金額以下しか稼がない場合、税金・社会保険料を払わなくてよかったり、配偶者の税金が安くなる』
という制度のことを指します。
具体的な金額だと、
- 給料が年間103万円未満の場合
- 給料が年間130万円未満の場合
に、扶養範囲内と言うことが多いです。
この金額を超えると、税金や社会保険料、配偶者の税金の負担が増えるので、少し超えるくらいだと、結果として手取り額が減ってしまうことになります。
※どちらかというと、103万円未満の方を「扶養範囲内」ということが多いようです。
103万円の壁
年収103万円未満ということは、常勤ではなく非常勤(パート)である場合がほとんどです。
パート歯科衛生士の年収が103万円を超えると、
- 歯科衛生士自身の所得税・住民税がかかる
- 夫の税金が増える
ということが起こり、103万円を大きく超えて稼がない限り、世帯の手取り額が減ります。
※住民税は、住んでいる自治体によりますが、100万円を超えるとかかるところが多いので、厳密に言うと「100万の壁」もあります。しかし、100万と103万の住民税負担額は、とても小さい金額なので、ここでは103万円にまとめています。
103万円までは、所得税がかからないことになっています。
103万円を超えると、超えた分に所得税がかかりますので、ちょっと手取り額が少なくなります。
また、妻の年収が103万円を超えない場合、夫は妻を扶養している、とみなされ、所得税が安くなる制度があります。
これを「配偶者控除」と言います。
配偶者特別控除という制度では、103万円を超えて150万円くらいまでは、税金の安くなる金額が少しずつ小さくなっていきます。
なお、2018年1月からは、制度が変わって、103万円だったものが150万円くらいまで引き上げられます。
130万円の壁
年収130万円未満であれば、自分(パート歯科衛生士)の社会保険(健康保険と厚生年金)は、夫が負担しているという位置付けになるので、追加で支払う必要はありません。
ところが、年収130万円を超えると、社会保険料を自分で負担しなければいけなくなります。
厚生年金、健康保険に歯科医院で加入するか、国民年金、国民健康保険に自分で加入するか、どちらかをしないといけません。
※加入できる保険は、週の勤務時間や、勤めている歯科医院によります。
保険料が安い国民年金・国民健康保険でも、月に2万円以上はかかるので、年間の保険料は最低24万円以上になります。
年収が100万円を超えたところから、徐々に税金や社会保険料の負担が始まり、手取り額が減っていくことになる!
※なお、夫の年収が1,200万円くらいよりも高いと、税金は安くなりません。夫の年収にもよりますので、詳しくはお問い合わせください。
100万円以上 | 住んでいる自治体によっては、住民税がかかり始める |
103万円以上 | 所得税がかかり始める |
130万円以上 | 年金、健康保険を自分で加入して払わなくてはいけなくなる |
150万円以上 | 夫の税金の配偶者控除(税金が安くなる)が減り始める ※2018年1月から。それまでは103万円以上 |
扶養範囲内で働くパート歯科衛生士はどのくらい?
平成27年3月に、日本歯科衛生士会から発表された、「歯科衛生士の勤務実態 報告書」によると、半数以上のパート歯科衛生士が、扶養家族になっているとのことでした。
「自分で加入している」というのは、「収入が130万円を超えているので、自分で払っている」という意味だと考えられます。
年金と健康保険で大きく割合が違うことは基本的にはあり得ない(基本は、年金と健康保険はセット)ので、何かの間違いだとは考えられますが、約3分の1のパート歯科衛生士は、扶養範囲内ではなく、自分で加入しているようです。
(本調査は、アンケートに歯科衛生士が自己申告で回答しているため、認識が間違っている可能性もあります)
まとめ
- 扶養範囲とは…税金や社会保険料が免除される収入の範囲のこと
- 103万円以上の収入には所得税・住民税がかかる
- 130万円以上の収入があると扶養から外れるので、個人で社会保険料を支払わないといけない
(監修: 永島社労士事務所 永島篤史先生)
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