歯科衛生士の産休育休/復職

歯科衛生士の産休と育休について。もらえる手当や給付金は?歯科医師国保の場合など解説!

投稿日:2015年6月26日 更新日:

歯科衛生士が産休・育休中にもらえる3つのお金とは?topimage

 

皆さんは産休や育休の制度をどのくらい知っていますか?

ワーキングウーマンにとって、出産はご自身の働き方を考える大きなポイントですよね。

出産や育児を乗り越えて、歯科衛生士として働き続けることができるかどうか…不安に思っている方も多いと思います。

出産や育児にはお金がかかるので、知っておきたい産休中のお金の疑問を解決していきましょう。

知っていれば得をすることが必ずあります!

歯科衛生士の産休手当と育休手当の種類

産休と育休中には1.出産育児一時金、2.出産手当金、3.育児休業給付金と、最大で3つのお金がもらえます。

しかし、この手当をもらうには、健康保険に入っている必要があったり、働き方や年収が関係していたりします。

色々な制度を事前にリサーチしておけば、出産や育児をしながら歯科衛生士として働く姿をイメージしやすいですね。

産休と育休に関わる制度などを理解して、いざというときに備えておきましょう。

産休ってなに?

産休とは「産前産後休業」の略です。
働く女性が出産前と出産後に取得できる休業期間のことです。

産前産後休業は労働基準法で定められていて、出産準備や出産後の体力の回復のためにお休みを取得することができます。

産休はどのくらいの期間取得できるの?

産休を取得できる期間は、出産予定日の42日前から出産後56日間分です。

週数に直すと、出産予定日の6週間前から産後8週間までです。

多胎(双子や三つ子など)を授かった場合は、お母さんの体への負担が大きいので、出産予定日の98日前から出産後56日間分となります。

ちなみに、出産日が予定日を過ぎた場合は、出産日までは産前休業として認められますので、予定日が遅くなったからといって心配することはありませんよ。

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出産で支給される手当

出産にはたくさんの費用がかかります。
妊娠と出産は健康保険がきかないので、家計への負担を軽減することを目的にした制度です。

そんなときに、加入している健康保険から支給されるお金が2つあります!

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金

支給されない時はどういう場合か…?申請方法は…?

事前に知っておけばスムーズに手続きができますので、順番に確認していきましょう!

出産育児一時金は一児につき42万円もらえる

出産育児一時金とは、赤ちゃん一人の出産につき42万円が支給されます。(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産した場合は40.4万円)

ちなみに双子なら2倍…三つ子なら3倍…となります。

出産育児一時金がもらえる条件は?

出産育児一時金がもらえる条件は2つあります。

  1. 社会保険(協会けんぽ・健康保険組合・東京都歯科健康保険組合)、国民健康保険、歯科医師国保いずれかに加入している方
  2. 妊娠4ヶ月(85日)以上で出産する方
出産育児一時金はどの健康保険に加入していても一律42万円支給されます。

仕事を続けるのか、退職するのか、またはご主人の扶養に入るのか…
まずはご自身がどの健康保険に加入しているのか確認してみましょう!

もし妊娠中に退職しても出産育児一時金はもらえるの?

妊娠をきっかけに歯科衛生士を退職した場合はどうなるのでしょうか?

◆ご主人の扶養に入る場合◆
ご主人の勤務先が加入している健康保険に申請すると、出産育児一時金と同額の「家族出産育児一時金」が支払われます。

◆国民健康保険に加入する場合◆
歯科衛生士として勤務していた時から国民健康保険に加入していた場合や、歯科衛生士を退職したあと国民健康保険に加入する場合は、国民健康保険から支給されます。

申請はお住まいの自治体で行います。

◆退職した歯科医院の健康保険を使う場合◆
退職すると健康保険の資格はなくなりますが、条件を満たせば出産育児一時金をもらえます。

これを「資格喪失後の継続給付」といい、下記4つが条件となります。

  1. 働いていた歯科医院で、社会保険(協会けんぽ・健康保険組合・東京都歯科健康保険組合) に加入していた方
    ※扶養ではなく、ご自身で加入していた場合に限る
  2. 妊娠4ヶ月(85日)以上の出産
  3. 退職日までに継続して1年以上加入している方
  4. 退職の翌日から6ヶ月以内の出産

※国民健康保険・歯科医師国保の場合は適用されませんのでご注意ください。
出産育児一時金は正常な分娩ができなかったケースでも、妊娠期間が4ヶ月(85日)以上継続していれば支払われます。

そのため、妊娠4ヶ月を過ぎて、流産や死産、人工中絶となったケースでも受け取ることができます。

もちろん自然分娩、帝王切開に関係なく利用することができます。

出産一時金の申請するのを忘れていた…もう受け取れない?

大丈夫です!
出産した日から2年以内に申請手続きをすれば、出産一時金を受け取れます。

申請先は、出産したときに加入していた健康保険組合になります。

まずは健康保険窓口に問い合わせると良いと思います。

ただし、期限の2年を1日でも過ぎてしまうと受け取れなくなってしまいますので、忘れずに申請しましょう!

出産手当金とは?出産育児一時金との違い

出産手当金とは、「産休手当」と呼ばれることもある、産休取得中にもらえるお金のことです。
出産手当金と出産育児一時金は似ていますが、受給条件と支給額が異なります。

出産手当金は、働く女性が出産のためにお休みし、給与の支払い受けられない場合や支払いの額が少なかった場合に、加入している健康保険から支給される給付金です。

出産手当金は歯科医院で働く歯科衛生士全員がもらえるお金ではなく、いくつか条件があります。
また、それぞれの条件にあてはまれば、両方もらうことができます。

出産手当金を受け取れる条件は?

出産手当金を受け取るには4つ条件があります。

  1. 社会保険(協会けんぽ・健康保険組合・東京都歯科健康保険組合)に加入している方
  2. 社会保険(協会けんぽ・健康保険組合・東京都歯科健康保険組合)の保険料をご自身で支払っている方(扶養ではない方)
  3. 出産のために仕事を休み、給料が歯科医院等から支払われていない方
  4. 妊娠期間が4ヶ月以上の方
注意していただきたいポイントは、ご自身が働いている歯科医院で社会保険に加入していて、扶養に入っていないということです。

国民健康保険は対象外となりますのでご注意ください。

なお、正社員だけでなく契約社員やパート、アルバイトであっても、勤務先の歯科医院で社会保険に加入している方は対象となります。

歯科医師国保の場合は出産手当金はもらえる?

歯科医師国保の場合は組合(都道府県単位)によって制度が異なるので確認してみると良いでしょう。

全国歯科医師国民健康保険組合

出産手当金をもらえる期間は?

産休は具体的には「産前休業」「産後休業」の2つに分類されます。

  • 産前休業・・・出産予定日を含む産前42日(6週間) ※多胎の場合は98日(14週間)
  • 産後休業・・・出産翌日からの産後56日(8週間)

この期間が出産手当金の対象期間となります。

出産手当金は働いていたときの給料によって変化する

出産手当金でもらえる金額は「標準報酬月額」によって変わりますので、各自確認が必要となります。

出産手当金の支給額の計算方法

ざっくりとどのくらいもらえるのか気になる方のために、計算式をご紹介します。

出産手当金でもらえる金額は「標準報酬月額÷30日×2/3=支給日額」です。
全国健康保険協会ホームページ
(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148)

「標準報酬月額」は、基本給のほか、手当や賞与等も含まれます。

皆さんの働き方や歯科医院によって変わってきますので、きちんとした金額は歯科医院に確認したほうがよいでしょう。

出産手当金はどうやって申請するの?

基本的に勤務先の歯科医院で申請してくれます。

稀に自分で行わなければならない場合がありますので、産休に入る前に確認しておくとよいでしょう。

出産手当金はいつ支給されるの?

出産手当金は記入漏れや提出書類の不備がなければ、申請後およそ2週間~4ヶ月後に支給されます。

出産手当金の受け取り方は、申請の際に届け出た銀行口座に一括支給されます。

申請するのを忘れてた…もうもらえない?

こちらも申請し忘れてても大丈夫です。出産手当金の申請は産休開始の翌日から2年以内に行えばもらえることになっています。

諦めずにこの期間内であれば、まずは勤務先の歯科医院や年金事務所に相談してみてくださいね。

育休ってなに?

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育休とは、「育児休業」の略です。

出産を乗り越えたら、次は育児が待っています。
歯科衛生士として働き続けるには大切な制度ですので、しっかり理解しておきましょう!

「育児休暇」と「育児休業」の違いってなに?

育休には「育児休暇」と「育児休業」があります。

この二つの違いをしっかりと把握しておくことが大切です。

「育児休暇」とは

「育児休暇」とは育児をするために休暇を取得すること、もしくは休暇中に育児をすることです。

「育児休暇」はあくまでも「休暇」ですので、法的に定められた制度ではありません。

なので通常の休暇と同じように、基本的にはお給料がもらえない無給であると考えます。

「育児休業」とは

「育児休業」とは、育児介護休業法によって定められた休業制度のことです。

法律に基づいて育児休業を取得できますが、取得するには条件を満たしていなければなりません。

育児休業中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるのが、育児休暇との大きな違いです。

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育児休業中にもらえる手当

「育児休業給付金」は働いている人が育児休業中に雇用保険から受け取ることができる給付金です。
取得するには5つ条件があります。

  1. 雇用保険に加入し、保険料を払っている
  2. 原則として1歳に満たない子供を養育する男女労働者
  3. 同一の事業主に引き続き1年以上継続して雇用されている
  4. 育児休業中に休業開始日前の給料に比べ、80%以上の給料がでないこと
  5. 育児休業後、退職予定がないこと

要するに同じ歯科医院で1年以上働いていて、妊娠中に退職せずに育児休業後も退職しないと歯科医院と契約を結んでいることが条件となります。

大事なことなのでもう1度言います!

"退職したらもらえませんよ!"

育児休業はどのくらい取得できるの?

いつ育児休業かというと、産後休業(出産翌日からの産後56日)を終えた翌日からスタートします。

育児休業の期間は、条件によっては最大で2年まで延長できることになりました。(平成29年10月1日施行)
厚生労働省ホームページ
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html)

※改正前…育休期間は原則1年、保育園に空きがなく子どもの預け先が見つからないなどの場合は、最長で1歳6ヶ月に達するまで延長となっていました。

この規定が改正され、1歳6ヶ月に達した時点で保育園に入れない等の場合は、再度申出することにより育児休業期間を「最長2年まで」延長できることになりました。

同時に、育児休業給付金がもらえる期間も「最長2年まで」となりました。
待機児童問題でなかなか保育園に入園することができない状況なので、この改正はとても助かりますね。

産休・育休期間の図

いつ申請すればいいの?

最初の育児休業給付金は、育児休業がスタートした日から2ヶ月後に申請します。

なぜ申請が2ヶ月後かというと、2ヶ月間働かなかったことを証明するためです。

どうやって申請するの?

申請書に必要事項を記入し、歯科医院(事業主)が公共職業安定所(ハローワーク)で手続きしてくれます。

基本的には事業主である歯科医院が申請してくれる制度ですが、ご自身で公共職業安定所(ハローワーク)へ手続きする場合もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。

手続きがきちんと完了すると「育児休業取扱通知書」が交付されます。
この「育児休業取扱通知書」に、休業期間や休業明けの労働条件などが詳しく書かれていますので、よく読んで大切に保管しておきましょう!

育児休業給付金は一度の申請で全てが終わるわけではありません。

その後は、2ヶ月ごとに申請が必要になりますが、通常は事業主である歯科医院で手続きしてくれます。

稀に申請漏れがあるようなので、受給時期が来ても給付金が振り込まれない場合は、念のため勤務先の歯科医院へ問い合わせると安心です。

育児休業給付金はいくらもらえるの?

育児休業給付金は2段間にわけて支給されます。

  1. 育児休業スタートから180日間は月給の67%
  2. 181日以降から終了までは月給の50%

なお、育休中に休業開始日前の給料に比べて30%以上の給料が出る場合は減額され、80%以上の給料が出る場合は支給されないので注意が必要です。

保険料が免除になるってほんと?

産前産後休業~育児休業期間は健康保険料と厚生年金の保険料が免除になります。(協会けんぽの場合)

自分の負担分も、事業主である歯科医院の負担分と共に免除になりますので、支払いは一切ありません。

なお、保険料免除の期間中でも、被保険者(加入しているということ)であることに変わりはありませんので安心してくださいね。

通常、この免除申請は事業主である歯科医院が行ってくれます。
産休に入る前にこちらも合わせて確認しておくとよいでしょう。

歯科衛生士に復職するときの不安や懸念

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出産を乗り越え、無事に保育園への入園が決まったあとは、今度は歯科衛生士として復職する不安がありますよね。

歯科医院は終業時間が遅いところが多く、朝は保育園へ送ることはできても、お迎えの時間に間に合わない…!ということがあるかと思います。

さらに歯科医院は平日に休診日があるところが多く、土日出勤もあるので「正社員で勤務となると難しいな…」と悩むのではないでしょうか。

お子様が小さいうちは体調が悪くなったりして、仕事を早退したりお休みする時があります。
そういった場合、正社員よりパート勤務の方がお休みを取りやすくなったりします。

パート勤務ですとお給料は正社員より少なくなります。
しかし勤務時間の融通が利きお休みが取りやすくなる分、子育てや家事も両立することができると思います。

また、産休・育休で1年~2年のブランクがあると、材料が変わったり新しい技術が増えたりして、覚えることがたくさんでてくると思います。

医院によっては院内マニュアルが完備されているので、スムーズに復職することができますね!

なお、日本歯科衛生士会のホームページに、各都道府県の復職支援事業について載っています。
日本歯科衛生士会ホームページ(https://www.jdha.or.jp/)

ブランクがある方向けに、リカバリー研修セミナーも開催しています。

こういったセミナーに参加するのもひとつの手だと思いますよ!

監修: 永島社労士事務所 永島篤史先生

まとめ

POINT出産と育児でもらえるお金は3つ!

  1. 出産育児一時金
  2. 出産手当金
  3. 育児休業給付金

出産手当金と、育児休業給付金 をもらうためにはそれぞれ条件がありました。

まずはご自身がどの健康保険に加入しているかを確認することが大切ですね。

長いブランク明けは、かなり不安があると思います。
今までの知識をもう一度復習したりする必要もありますね。

ママさん歯科衛生士全員が、ご両親のサポートを受けられるわけではありません。

まずはどうしたら仕事と子育てを両立できるか考えてみるのもおすすめです。

初めての子育てをしながら、いきなり正社員で復職すると挫折しやすくなる場合があります。
そういう時は無理せず時短勤務で仕事に慣れていくのも、ひとつの方法だと思いますよ。

「そんな職場あるだろうか…?」

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こういった歯科医院では実際に子育て中の歯科衛生士が在籍しており、お互いにフォローし合いながら働く環境が整っていると思います!

  • 子育て中だということ、
  • 保育時間の関係で勤務時間が限られていること、
  • または、サポート体制が整っているのでフルタイムで頑張りたい!

こういった状況や事情は、正直に伝えておくと周りの理解も得られやすくなると思います。

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