歯科衛生士は圧倒的に女性が多い職業です。女性は結婚や出産でライフステージが変化するとお仕事も続けにくいですよね。
子育てと仕事をどうしたら両立できるのか、悩んでいる歯科衛生士も多いと思います。
目次
子育てしながら仕事を両立するには?
子どもが生まれたら長時間は働けないし、保育園も見つかるかどうか…不安に思うことがたくさんあると思います。
ママさん歯科衛生士の保育園事情
子育てをしながら働くには、まず子どもの預け先を決めなければなりません。
世間では待機児童問題が騒がれており、歯科衛生士に限らず、働きたくても働けない女性が多くいます。
「勤務先が決まったのに保育園の抽選に落ちた…」
「保育園が決まらないから求人に応募できない…」
お住まいの地域によりますが、子どもの月齢が低ければ低いほど保育園への入園は難しくなる可能性があります。
とにかく情報収集が大切!
保育園に子どもを預けるためにはとにかく多くの情報を集めることが大切になってきます。
- 通える範囲にいくつ保育園があるか?
- 新規入園枠は何人か?
- 倍率は何倍か?
- 公立以外の私立はどうか?
- 無認可保育園はどうだろう?
お住まいの自治体へ相談すると、有意義な情報を得られる可能性があります。
自治体の担当者に直接相談するのもひとつの手だと思います。
希望する保育園に落ちた…ほかに選択肢は?
保育園に入園希望を出す際は、複数の保育園を志望して申請するのが一般的です。
しかし、現実的にどこまでなら実際に利用できるのか、あらかじめ決めておくことが大切です。
少し遠くの保育園しか受からなかった場合、勤務時間を調整すれば利用できるのか…それは難しいのか…
といったように、色々なパターンをイメージしておくとよいでしょう。
最近では、次年度に認可保育園が受かる可能性を高めるため、あえて無認可保育園を利用して、まずは勤務の実績を作り、点数を上げてから認可保育園の抽選を狙うという手法をとる方もいるそうです。
保育園が決まってない場合の歯科衛生士への就職・転職は難しい?
保育園が決まっていない状況での就職や転職活動は、結構難しいようです。
保育園の空きがたくさんあり、申請すればすぐ保育園に入れるといった地域は難しくありませんが、最近は待機児童が社会問題化しているので、入れるまで待たなくてはいけない、という地域が比較的多くなっています。
保育園に入るための申請時に、内定書(内定証明書)や勤務証明書の提出が求められます。
いま現在、父母どちらかが働いていない(これから仕事先を探す、も含む)家庭の子どもよりも、両方とも働いている、もしくはもう内定があって働くことが決まっている家庭の子どもが、優先して保育園に入れるようになっているからです。
なので、まだ保育園に入っていないときの就職・転職活動の流れは、
- 保育園にいつ入れるか分からない=いつから働き始められるかが分からない状況を理解してもらった上で、歯科医院から内定をもらい、内定書を発行してもらう
- その内定書を添付して、保育園の入所申請を行う
- 保育園に入れるまで待つ
- 保育園に入れたら働き始める
という形になります。
いつから働けるか分からない歯科衛生士を雇用してくれる歯科医院は、残念ながらそんなに多くありません。
また、インターネットの求人情報などでわかることでもないため、面接を受けるときに直接聞く以外に情報が得られない、ということもあり、就職・転職を難しくしています。
ちなみに、シカカラDH求人のような人材紹介サービスでは、「〇〇な事情がある」ということを先に歯科医院側に伝えて、それでも受け入れてくれるかどうかを確認します。
面接に行って「今すぐ働ける人じゃないと無理」と断られることはありません。
保育園にまだ入っていない乳幼児を育てている歯科衛生士さんには、一度人材紹介サービスを活用してみてもいいかもしれません。
保育サービス付きの歯科医院も、数は少ないけどある
数はまだまだ少ないですが、歯科医院に保育園や託児所が併設しているところや、提携の保育園や託児所がある歯科医院もあります。
大手法人や病院のような大きなな規模のところだと、福利厚生がしっかりしている傾向になります。
>託児所付きの求人で歯科衛生士を募集している歯科医院ってあるの?
ママさん歯科衛生士の子育て支援と再就職
歯科衛生士の仕事への出産や子育ての影響など、子育て支援の現状をまとめてみました。
出産や子育てによって働くことを諦める人たちはやはり多く、働きたいと思っていても条件面で難しいことがあるようです。
いま仕事をしていない理由
平成27年に日本歯科衛生士会から発表された「歯科衛生士の勤務実態調査 報告書」に、日本歯科衛生士会に所属していて、いま歯科衛生士として働いていない人の「働いていない理由」がまとめられていました。
それによると、いま働いていない理由のトップは「出産・育児」です。(その他を除く)12.4%の歯科衛生士がそう回答しています。
再就職するにあたっての障害
同じ調査で、「再就職の際の障害はなんですか?」という質問もあります。
再就職しない、しにくい理由の半数以上(57.2%)の理由が、「勤務時間」のようです。これは勤務時間に制限があるためになかなか働きづらいということでしょう。
47.2%で2位の「自分のスキル」は、長いブランクがあるとスキルが落ちてしまって、再就職するのに不安、という意味だと考えられます。
どちらも、出産・子育てを経験したあとの再就職にはつきものの不安ですが、多くの歯科衛生士も同じ悩みを持っていると思われます。
子育てしながら働く歯科衛生士の勤務シフト
子育てをしながら働きたいのに、「勤務時間の希望が歯科医院と合わない」という問題があるようでした。
子育てと仕事を両立しながら働く歯科衛生士が、どのような勤務シフトで働いているか説明していきます!
勤務時間と曜日
子どもを保育園に預けて働いている歯科衛生士は、預け先の保育園によって預かってくれる時間が決められているので、それに合わせて勤務時間を調整するケースが多くなります。
そのため、子育てが落ち着くまでは午前中だけの勤務や週1~2回だけ長時間働く歯科衛生士が多いです。
子どもが成長すると歯科衛生士として働ける条件の幅が広がる
・小学生にあがったら…
子どもが小学校にあがると、地域の学童保育に預けたり、留守番をさせたりして、働く時間を増やしていく歯科衛生士が多いです。
終業時間が早い歯科医院であれば、常勤として月給制で働くことも可能になります。
・中学生~高校生
小学生以上は手が少なくなるので、常勤歯科衛生士として働く方が増えます。
あまりに夜が遅い歯科医院だと難しいですが、早く終わる歯科医院を探せば、十分常勤の歯科衛生士として働けます。
何時まで働くか、働けるかは、家族の協力や経済状況、ご自身が歯科衛生士としてやりたいこと、などによって大きく変わっていきますので、ご家族でよく話し合ってください。
ただ土日は、お子さんの学校が休みで行事があったり、旦那さんが休みで一家が揃う、というケースが多いようなので、平日のみ勤務を求める歯科衛生士が多い印象です。
土日どちらかだけ出勤してほしい、とか、月に2回だけ土曜日も出て欲しい、などの要望が歯科医院からあることもあります。
こちらも、ご家族で話し合いの上、そういう歯科医院でもいいのか、土日は絶対休みがいいのか、などの希望を決めていくとよいでしょう。
長く続けていきたいのであれば、はじめは短時間から始めて、「子どもが成長したら常勤で働きたい」のように伝えてみてはいかがでしょうか?
歯科医院に「長く働いてくれるなら今は短時間勤務でもいいかな」と思ってもらえる場合もあります。
ママさん歯科衛生士が働きやすい求人を見つけるには
子育てしながら働く歯科衛生士に理解のある歯科医院の見分け方として分かりやすいのは、
「実際に子育てしながら働く歯科衛生士が在籍しているかどうか」です。
ママさん歯科衛生士が在籍していれば、子どもの急な発熱や学校行事でお休みしなければならない時に、お互いをフォローし合いやすいと思います。
しかしママさん歯科衛生士がいる歯科医院ばかりを探すこともできないと思います。
歯科医院によっては「子育て中の人ばかり雇えない」というところもあるでしょう。
その場合は、叶えたい希望の条件を絞って求人を探してみましょう。
ママさん歯科衛生士の求人探しPOINT
- 絶対満たさないといけない希望条件 (曜日や時間など)
- 満たされなくても問題ない条件
にわけましょう☝
条件を明確にすることで、「どうしてその希望なのか」を歯科医院にも伝えられるので、事情を理解してもらいやすくなります。
また「働ける時間は限られていますが、その時間内であれば曜日問わず出勤できます」など、歯科医院側の要望にもこたえられると「仕事を頑張ってくれるなら、できるだけ希望をかなえよう」と思ってもらえるでしょう。
自分の希望だけを押し付けるのではなく、歯科医院側の働いてもらいたい気持ちも理解することが大切です!
働く時間を合わせやすい?訪問診療
子どもをお迎えに行く時間を考えると、勤務時間に制限がでてきます。
夕方から患者が増える歯科医院にとっては、一番必要な時間帯に歯科衛生士が帰るとなると、勤務が難しくなる場合があります。
そこで最近注目されてきているのが「訪問診療」です。
訪問診療は外来と比べほとんど残業がない点と、訪問診療は午後から行われることが多いため働きたい時間帯と合わせやすいのが特徴です!
日本は高齢化社会が進んでいますので、今後重要視される訪問歯科で働くことは、将来きっと役に立つと思います。
ママだからこそ活躍できることもある!
子育てを経験したからこそ、歯科医院で活躍できることもあります!
小児歯科に限らず、一般歯科でも小さいお子さんは多く来院しますが、特に小児歯科に注力している歯科医院は、子ども中心に来院しています。
小児歯科に注力している歯科医院には、子どもが多く来院します。
子育ての経験があるからこそ、お母さんの気持ちも子どもの気持ちもわかります。
お母さんには親身になって話を聞いて理解してあげたり、イヤイヤ期の歯磨き対処法などのアドバイスを的確にすることができます!
治療を怖がる子どもには基本的な接し方やあやし方、さらには話し方も重要になってきますが、子育て経験があれば自然とできると思います。
これは子育てを経験したからこそできる、立派なスキルですよね。
患者と信頼関係を築ければ、リコール率も上がり歯科医院にとっても嬉しい結果につながります!
復職や子育ての不安を解消するには
ブランクがあったり、子育てしながら働くにはたくさん不安があると思います。
これだけ待機児童問題、保育園落ちた...などと騒がれているということはそれだけ働くお母さんが多いってことです。
業種は違えど、子どもを預けて働いているワーキングママには変わりありません。
子育てをしながら働く歯科衛生士もたくさんいるので、同じようなママさん歯科衛生士が職場にいると、相談もできるかもしれませんね。
また、復職にあたってブランクが不安な方もいるでしょう。
歯科衛生士をお休みしている間に、材料が変わったり新しい技術が増えたりします。
今までの復習や、新たに覚えることができて大変かもしれません。
歯科医院によってはマニュアルが完備されていたりするので、スムーズに復職することができるかもしれませんね。
また、各都道府県に復職支援事業があります。
リカバリー研修セミナーを開催していますので、こういったセミナーに参加し、自信をつけるのも一つの方法だと思います!
<参考>日本歯科衛生士会