歯科医院の見学は、「自分がこの歯科医院で、満足して働いていくことができるか」を知る上でとても大切です。
見学をおろそかにしてしまうと、実際に働き始めてから
「歯科衛生士さんの人数が少なくて、思っていたよりもゆっくり教育してもらえない」
「スタッフ内の上下関係が厳しいけど、院長は口出ししないから相談しづらい」
というように「知っておけばよかった!」となりかねません。
また、歯科衛生士を目指す学生は、辞退することは相手方に失礼にあたるため、面接を複数受けてはいけないと学校から言われているところもあるようです。
歯科医院見学をするメリットとは?
- 求人票では分からない、職場の雰囲気・業務の流れ・患者層などを知ることができる
- 滅菌・消毒・洗浄など、衛生面の確認ができる
- 複数の見学を通して、歯科医院を比較、検討できる
- 面接ではないので、履歴書の用意をしなくていい など…
気になる歯科医院はいくつかあるけど「面接へ進むか、進まないかを求人票では判断するのが難しい…」という人は見学をすると判断しやすくなります。
歯科医院側も、面接を受けるかどうか判断をするために来ていると認識しているので、面接のような志望動機を聞かれたり、自己PRを求めたりすることはありません。
(コミュニケーションのつもりで、軽く聞かれることはあるかもしれません)
歯科医院によって雰囲気も職場環境もスタッフ数も違うので、色々な歯科医院を見て、知っておくことは今後の就職活動にも役立ちます。
見学時に確認すると良いポイント
具体的にどういうところを意識して見ておくと良いのか、いくつか着目ポイントをお伝えします。
これから見学へ行く予定がある人はチェックして、参考にしてみてください。
1.仕事内容
ここの歯科医院では歯科衛生士がどのように活躍しているかを見ることできます。
- 患者担当制かどうか
- メンテナンス時間は1人何分か?
- 予防処置がメインか?
- 歯科衛生士業務に含まれるアシスト業務の範囲は?
- 歯科衛生士の1日の仕事の流れ
- 受付や事務、電話対応などの業務もあるのか?
- 自費診療の提案や営業ノルマがあるのか?
- 滅菌・消毒作業・グローブを変えるタイミングなどの衛生面は?
現場の歯科衛生士の動きを注意して見ていると、自分の働く姿をイメージしやすくなります。
また、衛生面についても確認することができます。
残念ながら衛生管理が不十分な歯科医院もあり、それを理由に退職を選んでしまう歯科衛生士も少なくありません。
感染に繋がる恐れもあるので、衛生面はしっかり確認しておく必要があります。
2.患者層
患者層によって歯科衛生士が行う業務も違いが出てきます。
見学先はどんな患者さんが多いのか、歯科衛生士業務とセットで確認しておくと良いでしょう。
- 患者は新規が多いのか?リコールが多いのか?
- 年齢層に偏りがあるか?もしくは小さいお子様から高齢者まで幅広い年齢層なのか?
- 自費診療と保険診療の割合はどれくらいなのか?
- 地元の患者が多いのか?遠方から足を運んでいる患者が多いのか? など…
患者さんの立場に立って接することが求められるため、職場の患者層を知っておくことも大切なことです。
3.人間関係
実際に入職してみないと分からないところでもありますが、女性が多い職場ということもあり気にしている人はたくさんいます。
歯科衛生士同士、歯科衛生士と歯科医師、歯科衛生士と歯科助手など、職種によって壁があるのか、また業務中と休憩中には差があるのか、確認しておきましょう。
休憩時間の様子
- みんなで楽しくランチをしているか?
- 会話をしている人たちがグループ化されている
- 会話の内容が患者の愚痴や仕事の愚痴ではないか?
- 院長とスタッフの会話はあるか?どんな会話をしているのか?
- 和気あいあいとした雰囲気が感じられるか?
業務中の様子
- 「ありがとう」「おはよう」「お疲れさまです」という言葉が飛び交っているか?
- 患者さんに対して「お変わりないですか」「お大事に」という声がけができているか?
- 笑顔はあるか?不安そうな表情・偉そうにしている表情の人はいないか?
- 声をかけあい連携を図っている様子が感じられるか?
- 歯科医師がスタッフに話しかける態度はどんな感じか?
特に業務中のでミスコミュニケーションは、医療事故にもつながる可能性があるので、注意したいところです。
見学したときに、たまたま急患が入ってアポイントが崩れたり、スタッフが急にお休みをし、シフトが崩れたりして、忙しくなっていたなど、万全な体制ではないこともあるかもしれません。
4.忙しさ
1日の見学で現場の忙しさを知ることはできませんが、確認する方法はあります。
「アポイント帳」で確認する場合
無理な予約の入れ方をしていると、現場の忙しさは、大体予想がつきます。日々受け付けているアポイントと、働いている歯科衛生士・歯科助手の人数の割合を確認しておきましょう。
また最終アポイントも、ゆとりをもって受け付けているのか、ギリギリまで受け付けているのかで残業時間にも影響してくるので注意しましょう。
働いている歯科衛生士の雇用形態から確認する場合
見学先は、アポイント状況にあったスタッフの人数がいるのか、雇用形態と合わせて確認しておきましょう。雇用形態とは「常勤(正社員)」「非常勤(パート・アルバイト)」のことです。
非常勤の人が多い現場に、常勤で入職すると、午前中や夕方くらいまでは先輩の歯科衛生士がいるのに、午後や夜の片づけをするときは、一人になってしまう、ということもあるようです。
5.衛生管理・職場環境
働くスタッフが不快に感じてしまうことがあれば、患者さんも同じように不快に感じると思います。
不衛生な環境ではないかも確認しておくといいでしょう。
- トイレは綺麗か?または、男女分かれているか?
- 院内掃除はこまめにされているか?
- ユニフォームは定期的に替えているか?
- 空気がこもっていたり、ホコリっぽくなっていないか?
また、スタッフルルームの有無も確認しておくと良いでしょう。
休憩時間ゆっくり過ごせるか否かで1日の疲れも変わってくると思うので、リラックスできる場所があるのか知るために大切なポイントです。
見学時の注意点
患者さんの処置を行っている歯科衛生士の手元や対応を近くで見学させてもらうので、邪魔にならないように立ち位置や距離感を考えて見学をしましょう。
- 患者さんの導線をウロウロ歩くことはしない
- 壁に寄りかかって見学をしない
- 肩まで髪がある人は結ぶ
- 質問をするときは、状況とタイミングを見て声をかける
- 見学だからという理由で、挨拶や笑顔を怠ることはしない
- 許可なく機材や資料など医院内にあるものを触らない
見学の時間や内容は歯科医院に合わせて
見学の時間は歯科医院によって異なるので、半日のところもあれば丸1日の見学もあります。
また、スケーリングや歯科衛生士業務を中心に仕事をしてもらいたいと考える歯科医院では、見学する時間帯を指定される場合もあります。
転職を希望している歯科衛生士なら、実際に業務をさせてもらうこともありますが、学生の場合は資格がないので見学のみです。
理由は、見学をしている学生と歯科医院との間に雇用関係(労働することに対して直接給与を支払う関係)が締結されていないからです。
また、賠償責任保険の加入もしていないので、助手として体験勤務をし、現場で患者さんに対して、ミスや問題を起こしてしまった結果、万が一、患者さんから訴訟を起こされてしまうと歯科医院側で責任を取ることになります。
まとめ
以上、見学前に確認しておくことをおさえておくと、歯科医院の情報量はたくさん持ち帰って来れます。
見学で良かったと思えた歯科医院は面接へと進みますが、見学時に得た情報が多ければ多いほど、履歴書にある「志望動機」も書きやすくなり、面接のとき質問をされても答えやすくなります。
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