『小児歯科』とは、小児の患者さんを診る、歯科の診療科目です。
『小児』とは、「成人していない=19歳以下」とされているようですが、多くの歯科医院は、永久歯が生え揃う12歳頃まで、つまり、乳歯が残っている時期まで、と考えているようです。
限られた年齢の子供に特化した小児専門の歯科は、他の歯科とどう違うのでしょうか。
ここでは、小児歯科における歯科衛生士の役割や、小児歯科で学べることなどをお話しします。
小児専門歯科の歯科医院事情
日本にある68,791軒(2018年1月末時点)の歯科医院のうち、ほとんどが「歯科(一般歯科)」をしています。一般歯科というのは、普通のむし歯や歯周病の治療をする歯科医院です。
(一般歯科をやっていない歯科医院の代表格は、「矯正専門の歯科医院」です)
一般歯科をやっている歯科医院のほとんどは、小児歯科もやっています。
患者さんが成人でも小児でも、必要な処置を行う、という歯科医院です。
全国に約6.9万軒ある歯科医院のうち、「小児歯科」を標榜(ひょうぼう: やりますよ、という意味)している歯科医院は、約4.3万軒で、全体の62%でした。約3分の2の歯科医院は、小児歯科もやっている、ということになります。
小児「専門」の歯科医院は、「成人は診ない」ということです。
小児専門は、そこで働く歯科医師、歯科衛生士の専門性が高まり、小児の患者さんに選ばれやすい反面、成人の患者さんは来ないので、経営を成り立たせようと思うととても大変です。
小児専門で続いている歯科医院というのは、さまざまな努力を通して、きちんと患者さんを集めている、と考えてよいでしょう。
経営を安定させる方法としては、近くに一般歯科を別に建てている、という法人もあります。
お子さんは小児専門の歯科医院で診て、ご両親や祖父母は近くの一般歯科で診る、という形です。
数は少ないですが、小児専門の歯科医院もあります。
- キッズデンタルパーク
- ワハハキッズデンタルランド
- 白金こどものはいしゃさん
キッズデンタルパークと、ワハハキッズデンタルランドの2つは、フランチャイズ展開をしているので、全国にいくつもあります。
小児歯科の経験を積むためには?
小児歯科の専門、もしくは小児歯科に詳しい歯科衛生士になるために選ぶ勤務先は、
- 小児歯科専門の歯科医院に勤める
- 一般歯科を行っている歯科医院に勤めて、小児の患者さんの処置を積極的に行う
の、どちらかでしょう。
どちらも、メリットとデメリットがあります。
小児専門の歯科医院に勤める場合
メリット
- 必ず小児の患者さんを診られる
- 日々働く中で、自然と小児歯科の専門性が身につく (もちろん、勉強は必要ですが)
デメリット
- 小児しか診ないので、成人患者向けの処置を忘れていってしまう
- 小児専門の歯科医院は数が少ないので、勤務先を選ぶのが大変 (「小児やりたい」以外の希望条件を満たしにくい)
一般歯科に勤める場合
メリット
- 成人患者も診られるので、小児も成人もスキルアップできる
- ほとんどの歯科医院が「一般+小児」なので、自分の希望雇用条件を満たす歯科医院を見つけやすい
デメリット
- 小児患者が少ない場合、小児歯科ができないこともある
- 専門性を身につけたい場合、日々働くだけだと足りないことがある
自分がどの程度、小児歯科をやりたいのか、小児歯科をやりたい以外の希望がどれくらい強いのか、をふまえて勤務先を選ぶとよいでしょう。
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なお、日本歯科衛生士会が2015年3月に調査した「歯科衛生士勤務実態 調査報告書」によると、歯科衛生士会に入っている歯科衛生士のうち、約75%が、小児患者への歯科衛生実地指導を行っていると回答しています。
地域の患者層、院長の考え方、キッズスペースのありなし、小児を担当するかしないか、などによって、診る人数は大きく変わると思いますが、多くの歯科衛生士が、何らかのかたちで小児歯科に関わっているようです。
小児歯科で働く歯科衛生士は普通と何が違うの?
小児歯科を「乳歯がまだある子どもの処置」とすると、小児特有の業務はこのようになります。
- 乳歯すらまだ生えそろっていない子どものケア → 乳歯がまだ全部生えていない場合、ブラシやスケーラーを使っての処置ではなく、布を使って汚れをとったりします。
- ご両親に対するTBI → 小さい子どもで、まだ自分で歯を磨くことができない場合は、TBIの対象は本人ではなくご両親になります。
- シーラントの塗布 (法的な是非はありますが) → 成人相手にシーラントを塗布することはまずありません。ほぼ小児専門だと考えて大丈夫です。
これらは、成人患者さんしか診ていないと、つかないスキルだと考えてよいでしょう。
小児歯科関連の学会
特定の領域(インプラント、補啜、など)で、いくつか学会があることはよくありますが、小児歯科の分野では日本小児歯科学会が代表的です。
小児歯科の分野で専門性を身に付けたいと思ったら、まずは日本小児歯科学会にコンタクトをとるのが近道かもしれません。
日本小児歯科学会
日本小児歯科学会のホームページでは、「小児歯科専門医・認定医」がいる歯科医院の検索ができます。
http://www.jspd.or.jp/
小児歯科のスキルを身につけたい場合は、ここで検索して、勤務する歯科医院を選んでもよいかもしれません。
※日本小児歯科学会によると、学会員は約4,500名、専門医は約1,200名います。
また、認定歯科衛生士制度もあります。認定をとりたい場合は、ホームページに書かれていることをよく読んで、チャレンジしてみましょう!
http://www.jspd.or.jp/contents/main/hygienist/index.html
小児歯科学会の認定を持っている歯科衛生士はかなり少ないと思います。
先ほどの「日本歯科衛生士会 歯科衛生士 勤務実態 調査報告書」によると、歯科衛生士学会以外に認定を受けている学会があるか、という質問には、全体の14%が「ある」と答えています。
認定をとった学会でいくと、日本小児歯科学会は2.1%しかありません。
(「ある」と答えた歯科衛生士の数が1,000人ちょっとなので、アンケート回答者のうち22人しか、小児歯科学会の認定を持っていない、ということです)
上記のグラフは、
- 歯科衛生士会に入っている歯科衛生士 (2014年9月末時点で16,113人)
- そのうちアンケートに回答した歯科衛生士 (回答率が54.5%なので、8,782人)
が母数なので、そのうちの22人が小児歯科学会の認定を受けている、ということになります。(回答者の0.25%)
歯科衛生士人数は、最新の統計だと123,831人なので、0.25%だとすると全国に310人くらいしかいないことになります。
歯科衛生士会に入っている歯科衛生士は、勉強熱心な方が多い傾向にあるので、実際はもっと少ないかもしれません。
全国小児歯科開業医会
全国小児歯科開業医会は、小児歯科を主に行っている歯科開業医(院長)の集まりです。
http://jspp.net
会員の多くは、日本小児歯科学会の会員でもあるようです。
全国で400名以上の会員規模です。(2016年8月時点)
親御さんにTBI指導をしたり
乳歯が生えそろっていない場合は布で汚れを落としたり繊細な処置が必要
成人患者さんだけでは身につかないスキルがある!
小児歯科の知識を身につけたいときは・・・
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