この記事を読んでいる方は、これから歯科衛生士の専門学校や大学に進もうと思っている方が多いと思います。
歯科衛生士になるために、学校ではどのようなカリキュラムが組まれているのでしょうか?
また、夜間部に通おうと思う場合は大きな違いがあるのでしょうか?
目次
歯科衛生士に必要な知識と学校の授業内容を知ろう
歯科衛生士になる方法は専門学校だけではありません。大学の歯学部、歯科大学などもあります。
しかしどこで勉強しても、受ける国家試験は同じなので、歯科衛生士になるために必要な授業内容は同じです。
ここでは、歯科衛生士になるために、どんなことを身につけていくのか、学校のカリキュラムや授業内容を紹介します。
進路を決めるために具体的なイメージにつなげていきましょう。
歯科衛生士の役割とは
国家資格である「歯科衛生士」には、主に3つの役割があります。
歯科衛生士として3つの役割を果たせるように、各学校でカリキュラムが組まれており、3年~4年間学ぶことになります。
歯科予防処置
- 歯に付着した歯垢や歯石を除去
- むし歯や歯周病予防のため、予防薬を塗布 など
歯科保健指導
- 歯磨き指導
- 食生活、生活習慣の指導
- 専門的な観点から患者さんの口腔状態に合わせてアドバイスをする など
歯科診療補助
- 歯科医師の診療補助全般
- 診療器具の準備、片付け
- 薬の調合、入れ歯や矯正装置制作のための歯型づくり など
歯科衛生士学校で学ぶ内容
学校によってカリキュラムの詳細は違ってきますが、3年間もしくは4年間通して歯科分野について学んでいきます。
学習内容を分けると大きく3つに分けることができます。
- 基礎分野(英語・心理学など一般教養の学習)
- 専門基礎分野(栄養学・解剖学・薬理学など医療に関する学習)
- 専門分野(歯科衛生士概論・摂食嚥下など歯科衛生士に関する学習)
1年生の学習内容
✎基礎科目
英語、心理学、社会学、看護学、哲学、体育保健、情報科学 など |
✎専門基礎分野
生物学、栄養学、化学、解剖学、組織・発生学、生理学、病理学、微生物学、薬理学、口腔解剖学、衛生・公衆衛生学 など |
✎専門分野
歯科衛生士概論、歯牙解剖学、口腔生理学、口腔外科学、歯科予防処置、歯科保健指導(歯磨きの仕方の指導など)、歯科診療補助(診療補助、放射線学、検査法など)、医療保険事務(レセプトなど) など |
1年生は基礎知識を身に付ける1年間になります。そのため、授業内容は座学(授業・講義)が中心になります。
歯科治療や歯科予防に求められる科学的な知識を学んだり、人体の構造や歯・口腔の健康維持や予防処置について基礎知識を高めていきます。
また、歯科衛生士に求められるのはコミュニケーション力です。
小さい子供や親御さんから高齢の方まで臨機応変な対応や、歯科医師たちと連携を図りながら業務を円滑に進めるためコミュニケーション能力向上を目指します。
社会人として必要な一般教養や一般常識についても身につけられるように語学や心理学、コミュニケーション学などの授業も用意されています。
2年生の学習授業
✎専門基礎分野
口腔衛生学、看護概論、医療倫理 など |
✎専門分野
歯科補綴学(ほてつ)、歯周病学、高齢者歯科学、障がい者歯科学、歯科放射線学、小児歯科学、嚥下摂食学、歯科矯正学、歯科保存学 など |
2年生になると、座学に加え実習も始まるので忙しくなります。
実習開始時期は学校によって様々ですが、後期から始まり約1年間、数ヶ所(病院、歯科診療所、施設など)で実習を行う学校が多いです。
「スタッフ人数」「ユニット台数」「必要設備の完備」などを基準に学校が認定したところが実習先となり、学ぶ環境は最低限整っているので安心できます。
歯科衛生士本来の業務ができる一般歯科・予防歯科を中心にしている歯科診療所での実習から、学校の方針として、歯科衛生士として今後選択肢を広げられるようにと、矯正歯科や訪問歯科など専門分野の経験を身につける目的として1ヶ所~数ヶ所実習先として用意する学校もあります。
そのため、学ぶことは実習先によって違います。
これまで学校で学んだ知識を、次は現場で活かしながら歯科衛生士としての経験を身につけていきます。
3年生での学習授業
3年生に入ると秋頃までは実習が主になり、学校での座学はほとんどなくなります。
≪3年生の1週間のスケジュール≫
3年 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
9:00~17:00 | 実習日 | 実習日 | 登校日 | 実習日 | 実習日 |
1ヶ所の実習先に学生数人で実習に行くところも多いですが、基本的に学校の友達や先生とは週1回顔を合わせる程度になります。
実習時間も1日中になるので、学生とは言えども、患者さんからはスタッフの1人として見られているので、意識を高くもって行動をしていかなければいけません。
また、実習中は毎日レポート作成が必要になります。
その日に学んだことや感じたことをレポートに書き、実習先の先輩歯科衛生士や院長先生にチェックをしてもらいます。
このレポート作成は、1日の実習が終わってから帰宅して書くことになるので、慣れるまでは1番大変な作業という学生も実は結構います。
レポート作成のために、覚えたこと、注意されたこと、正されたことなどを実習中にメモを取っておきます。
必要であれば先輩や院長先生に教えてもらわなければいけません。
多くの学校では、秋頃には実習が終わりとなるので、また学校へ登校する生活に戻ります。
そして、実習が終わると次は国家試験合格のため、試験対策の授業に入ります。
例年、歯科衛生士国家試験の合格率は90%以上と高い合格率が続いているため、3年間カリキュラムに沿って学んでいけばきっと合格できます。
1つ1つのカリキュラムをこなしていくのは大変ですが、試験に合格すれば一生手に職をもてる「国家資格者」となれるので、3年間諦めず頑張ることが大切です。
夜間部に通う場合、昼間部との違いは?
夜間部の授業はだいたい平日17時・18時~20時・21時くらいでおこなわれます。
日中仕事をしながら通うことができるので、社会人になってからも資格取得をめざしやすいでしょう。
(学校や授業の選択の仕方によっては、土曜日に補講が入ることもあるようです)
しかし、昼間部よりも少ない授業時間で、歯科衛生士国家試験を受けるための単位を取得できるのでしょうか?
特に実習となると、歯科医院に行っておこなうため、実習時間が限られています。
昼間部の場合は、実習の時間がしっかりとることができますが、夜間部の場合の実習はどうなるのでしょうか?
答えは「夜間部でも歯科医院で単位に必要な時間実習できる」です!
通常、昼間部の実習は【9:00~17:00】などの時間の場合が多いですが、夜間部の場合は【16:30~20:30】のように普段の授業時間くらいの時間におこなわれます。
遅めの時間まで診療している歯科医院などに実習に行くことになるようです。
(平日だけでは実習時間が足らない場合は土曜日にも実習をおこなったり、実習期間を昼間部よりも長期にすることで、定められた実習時間になるようにします)
また学校によっては、歯科医院ですでに働きながら歯科衛生士学校に通っている場合など、歯科医院での業務時間を実習時間に割り当てることができる制度があることもあります。
大学や短期大学と専門学校ではカリキュラムに違いはある?
歯科衛生士として必要な学習内容は大学(短期大学)も専門学校もあまり変わりはありません。
短期大学でも、専門学校と同じようにクラス制を取りカリキュラムに沿って学ぶスタイルのところも多いです。
しかし、大学は授業を自分で選択する(受講必須科目と必要単位数をクリアできるように授業を選択し自分で時間割を決める)ため、専門学校とは学ぶスタイルも学べる授業数も変わってきます。
大学は在籍期間が4年間なので、歯科分野を集中して学ぶ専門学校に比べ、一般教養だけでなく、福祉・介護系や歯科以外の授業も希望すれば受講することができます。
そのため、専門学校を卒業した学生は歯科衛生士の仕事に就く人が多いのに比べ、学ぶ分野が広い大学は歯科業界以外の仕事に就く人もいます。
参考