「歯科衛生士法」は、国家試験にも出題される、歯科衛生士として働くうえで重要な知識です。
歯科衛生士の業務についての決まりや条件が定められており、業務に関わるので覚えておきましょう。
「歯科衛生士法」の内容について
歯科衛生士法 全文に記載されている内容
- 歯科衛生士の業務について
- 取得に関することについて
- 処罰について
など
歯科衛生士法をよく知らないと…?
歯科衛生士として自分ができる業務を知っておかなければ、もっと幅広い業務を覚えてスキルアップできたはずなのに、業務の範囲がわからずに勉強の機会を逃すかもしれません。
また、知らないうちに歯科衛生士の業務範囲を超えてしまっていたりする場合があるかもしれません。
歯科衛生士法は改正されることもあるため、歯科衛生士会や厚生労働省のホームページなどで情報をチェックしておくのも大切です。
主な歯科衛生士業務について
歯科衛生士としての主な役割と業務には以下の3つがあります。
- 歯科予防処置
- 歯科保健指導
- 歯科診療補助
では、この歯科衛生士の主な業務について、どのように定められているのか、歯科衛生士法をみていきましょう。
3つの主な歯科衛生士業務に関する規定は、歯科衛生士法 第2条、第13条にて定められています。
歯科衛生士法 第2条
歯科衛生士法の第2条には、歯科衛生士が業務を行う上でできることについて書かれています。
▼歯科衛生士法条文より引用
一 歯牙露出面及び、正常な歯茎の遊離縁下の付着物や沈着物を機械的操作によって除去すること
二 歯牙及び、口腔に対して薬物を塗布すること
2 歯科衛生士は、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第31条第1項 及び第2 の規定にかかわらず、歯科診療所の補助をなすことを業とすることができる
3 歯科衛生士は、前2項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とする
直近では、参議院本会議にて可決・成立し、平成26年6月25日に歯科衛生士法の一部改正、公布もされました。
改正された法律は、平成27年4月1日より施行されています。
改正前は、
でしたが、改正後は「直接の」が削除されました。
「直接の指導の下に」という規定の下により、医療行為となる歯科予防処置を歯科衛生士が行う場合は、歯科医師もその場に立ち会わないといけないという法律でした。
しかし、改正後は適切な指示を歯科医師より受けていれば、その場に歯科医師がいなくても歯科予防処置が行えます。
歯科医師の直接指導がなくても業務ができるようになりましたが、歯科衛生士は歯科医師の指示をきちんと理解し、正確な処置と連携をこれまで以上に重視することが大切になります。
そのため、歯科衛生士法 第13条には歯科衛生士が業務を行う上での注意点などの補足が新たに加えられました。
歯科衛生士法 第13条
歯科衛生士法 第2条で、「歯科医師がその場にいなくても歯科衛生士が行える」業務が定められました。
そのことにより歯科衛生士の業務に誤りがでないよう、第13条で、「歯科医師がその場にいない場合に歯科衛生士が歯科衛生士業務を行う場合の条件」などが定められました。
▼参考
厚生労働省からの通知書「歯科衛生士法の一部改正の施行について(通知)」より引用
第13条の3 歯科衛生士は、歯科保健指導をなすに当たつて主治の歯科医師又は医師があるときは、その指示を受けなければならない。
第13条の5 歯科衛生士は、その業務を行うに当たっては、歯科医師その他の歯科医療関係者との緊密な連携を図り、適正な歯科医療の確保に努めなければならない。
歯科衛生士法の改正により、その場に歯科医師が立ち会っていなくても処置を行えるようになりました。
しかし指示された業務によっては、歯科衛生士の十分な経験と技能がなければ行えない行為もあるため、注意が必要ということですね。
歯科衛生士法 条文
(電子政府の総合窓口「e-Gov」より)
まとめ
本来の歯科衛生士業務とは、予防に伴う処置や指導と診療補助です。
患者さんの状態をチェックし専門的な観点から判断や対応を行います。
歯科衛生士は、歯科医師がその場にいなくても、指導・指示のもとでなら定められた予防処置を行うことができる
歯科衛生士は、歯科医師の指示がなければ、診療機械の操作や医薬品の授与などを行ってはいけない
歯科衛生士業務に専念できる環境が最も望ましいと考えている歯科衛生士も多くいますが、実際は職場の規模やスタッフ数によって歯科医師の指示に従い業務をしなければいけないこともあります。
歯科医師や歯科技工士など、スタッフと連携をとって業務を行うよう気を付けましょう。
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